千葉大学 高校生理科研究発表会歴代講演者一覧
年度 講演者氏名 所属組織名 身分 講演のテーマ 備       考
19 宇田川信次 千葉県立千葉東高等学校 教諭 SSHその糸口から出口までの体験談  
19 下山せいら 筑波大学生命環境学群 1年 プラナリアの摂食機構 第49回日本学生科学賞全国審査において文部科学大臣賞を受賞、「国際学生科学技術博覧会Intel ISEFにおいて中国科学技術協会賞(特別賞)、優秀賞動物学部門1等を授賞
19 吉田  翔 筑波大学生命環境学群 1年 粘菌の情報工学への応用 JSEC2006でアレンジ・テクノロジー賞を受賞、ISEF2007において材料・バイオ工学部門4等賞を受賞
20 中台 文夫 千葉県立柏高等学校 教諭 ISEF見聞報告  
吉田 昭彦 千葉県立船橋高等学校 教諭
20 牧野 美咲 筑波大学理工学群化学類 1年 アスピレーターによる簡易放電箱の製作 第51回日本学生科学賞において文部科学大臣賞を受賞、ISEF2008においてプラズマ科学連合賞1等賞を受賞
20 結城 明姫 私立晃華学園高等学校 3年 水流中における空気柱の研究 JSEC2006高校生科学技術チャレンジにおいて文部科学大臣賞、YKK特別賞を受賞、JSEC2007高校生科学技術チャレンジにおいて優秀賞を受賞
21 石井 規雄 千葉県立船橋高等学校 教諭 国際生物学オリンピックが目指すもの  
21 堤  朝風 千葉県立柏中央高等学校 2年 ギ酸によるフェーリング液の還元反応と銀鏡反応の研究 第52回日本学生科学賞千葉県審査において最優秀賞受賞、第52回日本学生科学賞において旭化成賞受賞、第52回千葉県児童生徒・教職員科学作品展科学論文の部において千葉県教育長賞受賞
22 丸  幸弘 潟潟oネス 代表 研究者は世界で活躍できる! リバネスは2002年、丸氏を中心とした理工系大学院生によって創業された世界初の「バイオ教育企業」であり、現在は「最先端科学のリバネス」をめざし、意欲的に活動を続ける新進気鋭のベンチャー企業である。高校生に夢と希望を与えるお話である。
22 西田  惇 筑波大学理工学群 1年 筋電位計測システムの開発とその応用 「国際学生科学・技術フェアIntel ISEF2010」日本代表に選ばれ、グランドアワード3位、アジレント・テクノロジー賞(特別賞)、全米知的財産法協会賞(特別賞)を受賞
23 中島  康 早稲田大学高等学院 教諭 Intel ISEF 2011(Los Angeles) 早稲田大学理工学部応用物理学科卒業後、同大学院で分子生物物理学を専攻し、理学博士を取りました。その後、埼玉医科大学・南アラバマ大学などで助手を務め、1998年に早稲田大学高等学院教諭となって現在に至っています。
23 柴田 恭幸 筑波大学大学院数理物質科学研究科博士後期課程 3年 高校生による理科研究の意義 高校在学中に、日本学生科学賞に出展し、43回、45回大会にて、内閣総理大臣賞を受賞、2000年、2002年Intel ISEFに出場。2002年大会では、物理学部門4等賞受賞。また、2010年4月より、独立行政法人日本学術振興会特別研究員(DC2)に採用され、研究を行っている。
24 飯島  章 千葉県立佐倉高等学校 教諭 Students, Be Explorers. 研究者になって世界に羽ばたこう
〜ISEF2012 視察報告〜
各国で選ばれた高校生代表が集い、発表するISEF。二人はJSEC派遣団に同行し、"Intel ISEF 2012 in Pittsburgh”の様子を視察してきた。世界中ではどんな高校生が、科学に興味を持ち、自ら研究に取り組んでいるのか?生き生きとした熱意あふれるレポート。
高石 哲男 千葉県立東葛飾高等学校 教諭
24 早水 悠登 東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程 2年 理科研究との付き合い方 高校在学中に、JSECにおいて文部科学大臣賞を受賞、翌年ISEF2004に衆生を果たす。現在、東京大学大学院情報理工系研究科電子情報学専攻博士課程2年。大規模なコンピューターシステムにおいて、高速なデータ分析を行うためのソフトウェア技術について研究している。
25 橋本 稔克 千葉県立長生高等学校 教諭 Let's challenge the ISEF アイセフを目指そう」 〜ISEF2013視察報告〜 70以上の国と地域からの若手研究者が一堂に会し、1200を超えるポスター発表が行われた"Intel ISEF 2013 in Phoenix”賞金総額は300万ドル。高校生の研究に対する熱意、研究内容、交流の様子、各種イベント等を紹介し、ISEFの魅力を伝える。
北川 輝 千葉県立千葉東高等学校 教諭
25 鍵 裕之 東京大学大学院理学系研究 教授 役に立つ研究と役に立たない研究 2010年より現職。隕石衝突説や放射線照射説などさまざまな成因論が報告されている天然多結晶ダイヤモンド(カルボナド)の起源解明に取り組んだ。現在は、地殻化学実験施設(Geochemical Research Center)で地球深部物質や高圧下での物質の振る舞いなどをテーマとして研究をしている。
26 中山 秀幸 千葉県立幕張総合高等学校 教諭 Intel ISEF 2014 視察に参加して 70を超える国と地域の代表生徒による世界最大級の科学研究コンテストIntel ISEF 2014(国際学生科学技術フェア)。5月にロサンゼルスで開催され、私たちはJSEC(高校生科学技術チャレンジ)を勝ち抜いた日本代表生徒に同行した。世界最高峰の研究発表会がどのようなものであったのかを伝え、みなさんの研究に少しでも参考になることを願い報告する。
浅野 裕史 千葉県立佐原高等学校 教諭
26 細谷 紀子 東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター 講師 医学研究へのいざない〜DNAから生命現象・病気まで〜 医学は、ヒトの誕生、発達、成長、老化などの一生涯における生命現象から、病気の原因、治療、予防に至るまでの幅広い分野をカバーする奥深い学問である。内科医として活動する中で目の当たりにした医学研究の医療への貢献の事例を紹介するとともに、専門のDNA修復研究に基づく新しいがん治療の開発の動向について解説する。

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橋爪 清成 福島県立福島高等学校 教諭 課題研究をhappyに進めるために!?

演者はこれまで福島県の高校教員として、課題研究、科学系オリンピック、実験教室等、高校生と共にサイエンスに関わる取組に携わってきた。今回、これまでの経験を踏まえて課題研究の進め方や科学系オリンピックへの取組等についてまとめる。まず、課題研究活動は何のために行うのか、その意味や有用性について確認し、その進め方についていくつかのポイントを考える。研究活動を進める上で大事なことのひとつに「アイデアを出すこと」がある。アイデアを出すには、happyな気持ちを持つこと、良いアイデアを出すよりむしろ数を出すこと、組合せを考えること、様々な視点から具体的に物事を見て考えること等が手掛かりになると考えている。上記の内容に加えて、これまで本校で行ってきた理科的な活動についても触れる。福島県は東日本大震災、原子力発電所事故により多大な被害を被ったが、こういった逆境をはねのけ、むしろ大きなチャンスとして捉えて実施している高校生の活動等についても紹介する。

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阿部 宏
埼玉県立川越高等学校
教諭 SSHが見る夢」 SSHのどこが素晴らしいかを語ります。川越高校はSSHの指定を受け、今年で10年目です。研究活動に携わる生徒は毎年200人おり、地学オリンピック世界大会銀2回、ロボカップジュニア世
界大会参加、SEES(台湾・日本生徒研究発表会)研究発表部門優勝、物理チャレンジ全国大会、金、銀、銅、優良9人、全国SSH生徒研究発表会ポスター賞3回、日本学生科学賞中央審査3回などの成果があがりました。海外研修ハワイ島実習では、ハワイ大学の研究者による英語漬けのフィールドワーク、マウナケア4000mでの天体観測、英語での研究発表を行っています。川高の理数教
師15人はSSHの授業で、相対性理論、宇宙創成、量子力学、バイオテクノロジー、天の川銀河の腕の速度からダークマターを検出する授業を行い、その分野の研究者と合同で生徒の研究活動を支援しています。この講演では、私たち川高の教師がSSHで生徒がどう成長することを夢みているか、そもそもSSHがめざす、最先端を見る、研究者を知る、研究する、殻を壊し先へ進む、人に伝える、世界を見る、とはどういうことか、その先に何が見えるかをお話しします。

 

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山本 喜一 芝浦工業大学柏中学高等学校
教諭 「Intel ISEF 2015」視察に参加して
上手にプレゼンするために(JSECの経験から)JSECの経験から、上手にプレゼンをするために心掛けておくとよいことをお話します。 (1) 発表内容を十分理解している。高校の学習内容を超えた部分もしっかり理解していて、質問されたら答えられる。研究のキーワードを言える。1分でも、5分でも、10分でも説明できる。
(2) 相手に合わせたプレゼンができる。中学生にも、小学生にも、大学の専門家に対してもそれぞれに合わせた説 明ができる(3) 発表者の印象も大切です。誠実に対応し、明るくて、高慢にならず、素直なイメージが望ましい。さらに、個人研究とグループ研究については、グループの場合は3人以内 で各自の役割がはっきりしていることが大切です。ISEFでは個人研究が主流でした。

 

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米谷 貴信 千葉市立千葉高等学校 教諭 「Intel ISEF 2015」視察に参加して 世界中から高校生が集まり,自身の課題研究の成果を発表しあう世界大会に,日本からは2つの出場方法があります。朝日新聞社主催のJSEC高校生科学技術チャレンジか,読売新聞社主催の日本学生科学賞で代表に選出されることです。Intel ISEF 2015においては,JSECから8チーム,日本学生科学賞からは5チームが出場しました。
審査においては,研究チームごとにブースが割り当てられ,ポスターや展示物を用いて研究発表を行います。カテゴリーごとに1等から4等まである優秀賞のほ か大学や企業等が授与する特別賞もあり,授賞式は非常に盛り上がります。Intel ISEFのもう1つの特徴として,国際交流を行う場であることも挙げられます。70を超える国や地域から,1,700人を超す高校生の他,随伴する教員やボランティア等,非常に沢山の人が集まります。同年代の人たちとの英語による意思疎通を通し,参加した生徒達は,自分の英語力に自信を持てたようです。多感な高校生の時期に,文化や科学技術等で国際交流をする経験は,将来の大きな糧になると考えられます。高校生の皆さんは,チャンスが有れば飛び込んでみましょう。

 

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正宗エリザベス 株式会社 @アジア・アソシエイツ・ジャパン  代表取締役 「Pathways to Global Citizenship」 The students of today are the global citizens of tomorrow. In Japan, as in every other country around world, their dreams, aspirations, and career choices will shape the next generation to come and the societies we live in. The digital platforms that have now become such an integral part of our daily lives have also made the world a "global village", bringing all of us closer to each other and to opportunities to extend our horizons beyond borders, cultures and geographies. We have online friends that we would probably never have encountered a decade ago, and we share our opinions, hopes and fears in real time with an increasingly more globally savvy audience.
    For all this interconnectedness, the possibilities of tomorrow can still appear quite overwhelming if we feel unprepared. What does it really mean to be a global citizen in today's world? Which pathways should we follow? What are the real skills that will define and shape the journey that awaits? For all of the changes in today's volatile global environment, these are perennial questions facing all young students as they stand at the cross roads of life. They have always been thus, and always will be. There are many thways to global citizenship - this lecture will serve as a guide to some of  the signposts along the way.

 

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白水正男 宇宙航空研究開発機構(JAXA)チーフエンジニア室
特任担当役 「宇宙開発における私の経験と理科研究発表会で思ったこと」
講演者は宇宙航空研究開発機構(JAXA)において宇宙や航空に関する研究開発を行なってきました。また、昨年の理科研究発表会では審査委員を務めました。講演では、JAXAにおける自身の研究開発活動の一部を紹介するとともに、中学〜高校でのサークルからJAXAにおける研究開発に至る講演者の経験に基づいて、 高校生の皆さんが“研究”について考えていっていただきたいことについてお話ししたいと思います。講演の前半では、講演者らが行なった極超音速飛行実験( HYFLEX)などについて紹介します。HYFLEXは日本版スペースシャトルとも呼ばれ たHOPEの開発に先立つ飛行実験のひとつとして行なわれたもので、我が国最初の極超音速(最高マッハ数15)の揚力体の飛行です。HOPEの開発は残念ながら中断 しましたが、HYFLEXは、同様の飛行実験(IXV)が一昨年にヨーロッパ宇宙機関 (ESA)でも行なわれたことでも分かるように非常に先駆的な飛行実験でした。講演では、機体の設計をどのような考え方で行なったかなど、写真の紹介などを 交えて身近に感じてもらえるように工夫しながらお話しし、再使用宇宙輸送システムの未来についても触れます。後半では、講演者の中学〜高校時代のサークル活動やJAXAにおける研究開発活動を振り返りながら、昨年の理科研究発表会で発表を見せていただいてすばらしいと感心したことや課題と思われたことなどを整理し、これからのサークル活動や、研究者になるならないにかかわらず“研究心” をもった若い皆さんに期待すること、考えていっていただきたいことなどをお話 しします。

 

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中島哲人 市川学園市川高等学校  教諭 「Intel ISEF 2016から見えてきた課題研究」
今回Intel ISEF 2016(インテル国際学生科学技術フェア)に同行し、視察から見えてきた課題研究のあり方について報告します。高校生たちが科学技術分野での研究の頂点を目指して集まる、半世紀以上続く世界最大の高校生向けコンテストです。今回も、ナノ粒子、ペロブスカイト太陽電池、還元型グラフェンなど大学での研究、大学院生や研究者と肩を並べる研究成果が多数出品されました。レベルは非常に高いと思います。
 審査員は、審査前日にポスターをよく読み込みます。実験ノートと文献をテーブルに置いておくことが推奨されています。普段から実験ノートをきちんとし、データ処理、考察や仮説、実験計画も記載し、文献もしっかり調べておくことが大事だといえます。
 何を審査しているのでしょうか。でき上った作品の実験例数や結果の数値処理、研究する着想や結果のインパクト(イノベーション的な応用)、着眼点が鋭ければそれを拾う、生徒一人一人の能力、将来性を見落とさないようにしているように思われました。晴らしい凄い研究成果でも、その着想が生徒のものではないと見抜かれれば落とされてしまいます。実際に最先端の研究で、受賞できなかった研究がいくつもありました。研究に関連することは、すべて自分で理解して、説明できないと話しになりません。高校レベルを少し発展させた研究内容でも受賞できていました。
 個人研究が多いが、チーム研究も約2割ありました。チーム研究では役割分担が質問されます。
 通訳がほぼつきますが、通訳がいないときにも、積極的に審査員を引き込んで、ヒヤリングが厳しくても、何を聞いているか聞き直し、ディスカッションをする姿勢が必要です。英語でのコミュニケーション能力が大事です。
 ISEFへの道のりは日本学生科学賞(地方審査を経由)とJSEC(高校生科学技術チャレンジ)の2つあります。同じ作品を両方には出品できませんが、是非多くの高校生にエントリーしていただきたいと思います。

 

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小原稔 千葉市立千葉高等学校 教諭 「A report about “intel ISEF 2016”」
Thanks to Chiba University, I got an opportunity to visit and see “intel ISEF 2016”. This is the competition for scientific research work by high school students from all around the world.
 You may think that the world-wide competition is so tough for you, but it’s basically very similar to the competition of scientific research in Chiba University except that they have to communicate in English. You may say, “I’m good at reading and writing English, but I’m not good at speaking English”. Actually, you need to practice. As a first step, I
recommend your making presentation in English in a class. And I also recommend you to ask questions and answer questions in English. It should become familiar situation for you.
 A finalist said, “Your enthusiasm and confidence can make your thoughts understood.” If you have enthusiasm and confidence, you’ll be a world- wide competitor in the near future.
Let me show you one of the scenes from “intel ISEF 2016”
      Where are you from?
      What is your main topic?
      Why did you choose the topic?
      What have you found out?
      What are you going to do as the next step?
      Where have you done this research?
      What is your role? (How is your role sharing?)
These questions would not be difficult to answer.
 Another finalist said “I have had lots of discussions with my teachers.
Through the discussions, I could think deeper. Now, I have come to like my research work more.”
Work hard! Have fun!! Make history!!!
If you work hard, you would understand a thing. If you understand the thing, you can enjoy the process. Then you get crazy about the thing and you would go beyond your limit. Once you go beyond the limit, you will have already created history without knowing it.
 They say, “Luck is also a part of your ability.” But, I’m confident that changing luck into an opportunity is a part of your ability.
 Let’s try anyway. You can do it!


If you work hard, you would understand a thing.
If you understand the thing, you can enjoy the process.
Then you get crazy about the thing and you would go beyond your limit.
Once you go beyond the limit, you will have already created history.

 

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村本哲哉 東邦大学理学部 講師 「課題研究で人生は変わる」
現在、私の研究グループでは、細胞内で起こる生命現象を可視化する技術を開発しながら、細胞の分化やリプログラミングを理解する研究を行っています。私の研究者としての原点には、みなさんも取り組んでいる「課題研究」があります。小学6年生の時、近所の河原で見かけた小さなカニの行動に魅せられ、カニの観察にのめり込みました。その当時は、ただのカニ好き少年で、夏休みの自由研究の課題として、カニの研究に取り組んでみた程度でした。しかし、カニへの興味はそこで終わらず、科学コンテストを経験するうちに、新たな発見の喜び、研究内容をまとめて伝えることの楽しさを学び、気がついたときには科学研究の国際大会であるISEF(国際学生科学技術フェア)日本代表に選ばれていました。初めての海外、初めての英語プレゼン、そして初めての日本代表。感受性豊かな高校生にとっては、人生を変える経験となりました。その後、ISEFに出場したOB/OGと共に大学院在学中にNPO法人日本サイエンスサービス(NSS)を設立し、日本代表に対する事前合宿研修を14年間にわたって行っているほか、毎年ISEF現地取材を続けています。ISEFに出場して受賞できる割合は約25%です。しかし、ISEFに出場した100%の人が得ることのできるものがあります。それは、人生を変えるような経験です。みなさんの取り組んだ「課題研究」の先にあるもの、それをお見せしながら私からの応援メッセージをお伝えします。

 

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ヨサファット

 テトォコ

 スリ

 スマンティヨ

千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 教授 「グローバル環境・地殻変動観測用先端合成開口レーダ搭載小型衛星の開発」

This lecture introduces the development of our original circularly polarized synthetic aperture radar (CP-SAR) onboard microsatellite (Microsatellite SAR) that developed in Center for Environmental Remote Sensing, Chiba University. This microsatellite SAR has mission to observe global environment and land deformation in the future. Synthetic Aperture Radar (SAR) employs microwave that could penetrate cloud, haze and fog, therefore it could be operated in all weather. This sensor is active sensor, hence it also could be operated in night time. In this lecture, the history of advanced Spaceborne SAR development in Chiba University and the passion of Prof Josaphat in development of this Microsatellite SAR as his dream since five years old and a promise to his father to realize the radar system and aircraft, will be introduced. This lecture also will introduce the development of SAR system (L, C, and X bands) for unmanned aerial vehicle (UAV) and aircraft; and large scale UAV (JX series). Some applications of SAR sensor for disaster monitoring, as landslide, urban environment change, volcanic activity, land subsidence, will be showed too. Prof Josaphat will give advices to be World level researcher with strong passion in research and education, based on his experience.    
 
この講義では、千葉大学環境リモートセンシング研究センターが独自に開発した円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)搭載小型衛星(小型SAR衛星)を紹介します。この小型SAR衛星のミッションはグローバル環境・地殻変動を観測することです。合成開口レーダ(SAR)とはマイクロ波という雲、霧、煙を透過する電磁波を使用して、晴天はもちろん曇りや雨等どのような天候でも運用することができるレーダです。このSARセンサは能動型センサで、夜間でも観測することができます。この講義では、千葉大学で開発された先端宇宙用SARセンサをはじめ、ヨサファット教授の小型SAR衛星の開発に対する情熱、例えば5歳のときに自分で飛行機とレーダをつくる約束を父としたことなどを含め紹介します。この講義でも、千葉大学で開発された無人航空機(UAV)・航空機搭載用SARシステム(L、C、Xバンド(周波数))や、大型無人航空機(JXシリーズ)も紹介します。また、土砂崩れ、都市環境変化、火山噴火、地盤沈下などSARセンサによる監視事例も紹介します。最後に、ヨサファット教授の経験をもとに、どのようにして研究と教育に強い情熱を持ち続け世界レベルの研究者になるかアドバイスをします。

 

 

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志賀裕樹 千葉県立佐倉高等学校 教諭 「Intel ISEF 2017 視察報告」 今年5月、アメリカLAで行われたIntel ISEF 2017(国際学生科学技術フ
ェア)のJSEC(日本科学技術チャレンジ)*日本代表チームに同行する機会を千
葉大学から与えて頂きました。普段、理数科の生徒に対して課題研究を指導して
いる者として、いつか行けたら良いなあという漠然とした夢が現実となり、いろ
いろな意味で夢のような1週間を過ごすことが出来たと同時に、ジュニア世代の
世界レベルの高さや厳しい現実にも直面しました。
  例えば、皆さんは自分達が行った実験、観察をどのくらい正確に記録していま
すか?その記録量(ノートなど)はどのくらいですか?また、実験を全く同じ条
件でいつでも再現出来ますか?自分が測定などに使用している機器の原理、仕組
み、そこから得られるデータの意味をきちんと理解できていますか?自分が研究
に用いている試薬などのリスクについてどの程度考えた事がありますか?そもそ
もエタノール水溶液(10数%の濃度)が危険な薬品で使用に留意する事など考え
たことがありますか? 皆さんは体力に自信が有りますか?
  ISEFに参加するチームや個人は、世界約75カ国や地域を代表した発表ですから
研究内容は何れも立派で、中には高校生がここまでやるの?大学や研究機関で行
なっているのでは? と思えるような発表も少なくありませんでした。しかし、
それぞれのブースでパネルや展示物をよく見て説明を聞いてみると、研究へのア
プローチの仕方や彼らの実験ノートや資料などの量や質に違いがあることが分か
りました。その中には今日からでも皆さんの気持ちひとつで取り入れ改善してい
けるような事が幾つもありました。今から改善できる事を少しずつ取り入れてい
くことで皆さんの研究は加速度的に変容していくと思います。
 今日の発表会まで頑張って来た皆さんはきっとこれからも科学を好きになって
研究を続けていく事と思います。今日の話から自分もISEF目指し来年の
Pittsburgh大会に出てみたい!先ず、これだけは明日から改善して研究してみよ
う!と思って貰えるようにお話ししたいと思います。
 *ISEFに日本から参加するのは、JSEC,日本学生科学賞の上位入賞者

 

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長山定正 市川学園市川高等学校 教諭 「ISEFから見えてくるサイエンスの潮流」 サイエンスには時代の潮流がある。その時々で流行っている分野のことである。例えば、私は専門が生物なので、その分野の話をさせてもらうと、まず、大学に入り遺伝子組換え技術の存在を知った。すごい技術が登場したものだと、感動したものである。しばらくするとPCR法が流行り、どの研究室もサーマルサイクラーがフル活動、といった風であった。同時期に、バイオインフォマティクスという言葉をよく聞くようになった。今や生物学の主流はビッグデータであり、プログラミングは生物学者には必須である。さらに、ここ数年のホットなテーマはゲノム編集である、5年単位で新しい技術が開発され、技術がその時代の主流を作り出しているといっても過言ではない。
 さて、この度ISEF2017を視察する機会を頂いた。感じたことは多かったが、一番は世界におけるサイエンスの潮流と、日本におけるそれには大きな隔たりがあるということである。
 ISEFでは、ファイナリストのプロジェクトは22のカテゴリーに分けられる。各分野の専門家が、公正に審査するためである。例えば、機械工学、エネルギー化学、地球惑星科学、微生物学などである。今回、全1447プロジェクト(長山調べ)のうち、エントリー数が多かったベスト3は、地球環境科学、環境エネルギー、組込みシステム(電子回路やIoTなど)であった。いわゆる高校の科目別で分けると、生物、物理、化学の順。日本の理系高校生が、大学受験で選択する科目とまったく逆の傾向となっていることが面白い。
 また、これまでISEFで、日本が一度も賞をとったことのない分野がある。それは医学分野である。これはもちろん、日本において高校生が医学研究をすることは、システムとして確立していないからである。一方、アメリカでは、医学に興味のある優秀な高校生を、病院や研究所で受け入れ、研究させる体制が整っているという。現にここ7年のうち、4回はその分野でアメリカの高校生がThe Gordon E. Moore Award(最優秀賞)を受賞している。日米のサイエンス教育に対する違いは、大変興味深い。
 ISEFは科学のオリンピックであるから、現在のサイエンスの流行りとエントリー数には相関があるだろう。世界では、環境・医学・IT研究が主流であるのに対し、日本では動物科学や機械工学が多い。どちらが良い、悪いという問題ではない。日本は日本の良さがあり、それを追求していけば良いのかもしれない。しかし、本当は医学研究をしたいのにできない、本当はやりたい研究があるのに受験とは無関係だから…などの理由で、あきらめている高校生は少なくないのではないか。もし、そうだとしたら課題研究の指導に身をおいている一人として、歯がゆい思いをせずにはいられない。
 以上、「ISEFから見えてくるサイエンスの潮流」をメインに、お話ししてみたいと思う。