千葉大学|高大連携企画室

 

     
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【告 知】
 
 
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第11回 高校生理科研究発表会  講演内容

 

 

題目: 「課題研究で人生は変わる」

講演者: 東邦大学理学部 講師 村本哲哉 先生

内容: 現在、私の研究グループでは、細胞内で起こる生命現象を可視化する技術を開発しながら、細胞の分化やリプログラミングを理解する研究を行っています。私の研究者としての原点には、みなさんも取り組んでいる「課題研究」があります。小学6年生の時、近所の河原で見かけた小さなカニの行動に魅せられ、カニの観察にのめり込みました。その当時は、ただのカニ好き少年で、夏休みの自由研究の課題として、カニの研究に取り組んでみた程度でした。しかし、カニへの興味はそこで終わらず、科学コンテストを経験するうちに、新たな発見の喜び、研究内容をまとめて伝えることの楽しさを学び、気がついたときには科学研究の国際大会であるISEF(国際学生科学技術フェア)日本代表に選ばれていました。初めての海外、初めての英語プレゼン、そして初めての日本代表。感受性豊かな高校生にとっては、人生を変える経験となりました。その後、ISEFに出場したOB/OGと共に大学院在学中にNPO法人日本サイエンスサービス(NSS)を設立し、日本代表に対する事前合宿研修を14年間にわたって行っているほか、毎年ISEF現地取材を続けています。ISEFに出場して受賞できる割合は約25%です。しかし、ISEFに出場した100%の人が得ることのできるものがあります。それは、人生を変えるような経験です。みなさんの取り組んだ「課題研究」の先にあるもの、それをお見せしながら私からの応援メッセージをお伝えします。

 

 
題目: Development of Advanced Synthetic Aperture Radar onboard Microsatellite for Global Environment and Land Deformation
    「グローバル環境・地殻変動観測用先端合成開口レーダ搭載小型衛星の開発

講演者: Prof Josaphat Tetuko Sri Sumantyo, Center for Environmental Remote Sensing, Chiba University
     千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 教授 ヨサファット テトォコ スリ スマンティヨ 先生

内容: This lecture introduces the development of our original circularly polarized synthetic aperture radar (CP-SAR) onboard microsatellite (Microsatellite SAR) that developed in Center for Environmental Remote Sensing, Chiba University. This microsatellite SAR has mission to observe global environment and land deformation in the future. Synthetic Aperture Radar (SAR) employs microwave that could penetrate cloud, haze and fog, therefore it could be operated in all weather. This sensor is active sensor, hence it also could be operated in night time. In this lecture, the history of advanced Spaceborne SAR development in Chiba University and the passion of Prof Josaphat in development of this Microsatellite SAR as his dream since five years old and a promise to his father to realize the radar system and aircraft, will be introduced. This lecture also will introduce the development of SAR system (L, C, and X bands) for unmanned aerial vehicle (UAV) and aircraft; and large scale UAV (JX series). Some applications of SAR sensor for disaster monitoring, as landslide, urban environment change, volcanic activity, land subsidence, will be showed too. Prof Josaphat will give advices to be World level researcher with strong passion in research and education, based on his experience.    
 
 この講義では、千葉大学環境リモートセンシング研究センターが独自に開発した円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)搭載小型衛星(小型SAR衛星)を紹介します。この小型SAR衛星のミッションはグローバル環境・地殻変動を観測することです。合成開口レーダ(SAR)とはマイクロ波という雲、霧、煙を透過する電磁波を使用して、晴天はもちろん曇りや雨等どのような天候でも運用することができるレーダです。このSARセンサは能動型センサで、夜間でも観測することができます。この講義では、千葉大学で開発された先端宇宙用SARセンサをはじめ、ヨサファット教授の小型SAR衛星の開発に対する情熱、例えば5歳のときに自分で飛行機とレーダをつくる約束を父としたことなどを含め紹介します。この講義でも、千葉大学で開発された無人航空機(UAV)・航空機搭載用SARシステム(L、C、Xバンド(周波数))や、大型無人航空機(JXシリーズ)も紹介します。また、土砂崩れ、都市環境変化、火山噴火、地盤沈下などSARセンサによる監視事例も紹介します。最後に、ヨサファット教授の経験をもとに、どのようにして研究と教育に強い情熱を持ち続け世界レベルの研究者になるかアドバイスをします。

 


 
題目: 「Intel ISEF 2017 視察報告」

講演者: 千葉県立佐倉高等学校 教諭 志賀裕樹 先生

内容: 今年5月、アメリカLAで行われたIntel ISEF 2017(国際学生科学技術フ
ェア)のJSEC(日本科学技術チャレンジ)*日本代表チームに同行する機会を千
葉大学から与えて頂きました。普段、理数科の生徒に対して課題研究を指導して
いる者として、いつか行けたら良いなあという漠然とした夢が現実となり、いろ
いろな意味で夢のような1週間を過ごすことが出来たと同時に、ジュニア世代の
世界レベルの高さや厳しい現実にも直面しました。
  例えば、皆さんは自分達が行った実験、観察をどのくらい正確に記録していま
すか?その記録量(ノートなど)はどのくらいですか?また、実験を全く同じ条
件でいつでも再現出来ますか?自分が測定などに使用している機器の原理、仕組
み、そこから得られるデータの意味をきちんと理解できていますか?自分が研究
に用いている試薬などのリスクについてどの程度考えた事がありますか?そもそ
もエタノール水溶液(10数%の濃度)が危険な薬品で使用に留意する事など考え
たことがありますか? 皆さんは体力に自信が有りますか?
  ISEFに参加するチームや個人は、世界約75カ国や地域を代表した発表ですから
研究内容は何れも立派で、中には高校生がここまでやるの?大学や研究機関で行
なっているのでは? と思えるような発表も少なくありませんでした。しかし、
それぞれのブースでパネルや展示物をよく見て説明を聞いてみると、研究へのア
プローチの仕方や彼らの実験ノートや資料などの量や質に違いがあることが分か
りました。その中には今日からでも皆さんの気持ちひとつで取り入れ改善してい
けるような事が幾つもありました。今から改善できる事を少しずつ取り入れてい
くことで皆さんの研究は加速度的に変容していくと思います。
 今日の発表会まで頑張って来た皆さんはきっとこれからも科学を好きになって
研究を続けていく事と思います。今日の話から自分もISEF目指し来年の
Pittsburgh大会に出てみたい!先ず、これだけは明日から改善して研究してみよ
う!と思って貰えるようにお話ししたいと思います。
 *ISEFに日本から参加するのは、JSEC,日本学生科学賞の上位入賞者





題目: 「ISEFから見えてくるサイエンスの潮流」

講演者: 市川学園市川高等学校 教諭 長山定正 先生

内容: サイエンスには時代の潮流がある。その時々で流行っている分野のことである。例えば、私は専門が生物なので、その分野の話をさせてもらうと、まず、大学に入り遺伝子組換え技術の存在を知った。すごい技術が登場したものだと、感動したものである。しばらくするとPCR法が流行り、どの研究室もサーマルサイクラーがフル活動、といった風であった。同時期に、バイオインフォマティクスという言葉をよく聞くようになった。今や生物学の主流はビッグデータであり、プログラミングは生物学者には必須である。さらに、ここ数年のホットなテーマはゲノム編集である、5年単位で新しい技術が開発され、技術がその時代の主流を作り出しているといっても過言ではない。
 さて、この度ISEF2017を視察する機会を頂いた。感じたことは多かったが、一番は世界におけるサイエンスの潮流と、日本におけるそれには大きな隔たりがあるということである。
 ISEFでは、ファイナリストのプロジェクトは22のカテゴリーに分けられる。各分野の専門家が、公正に審査するためである。例えば、機械工学、エネルギー化学、地球惑星科学、微生物学などである。今回、全1447プロジェクト(長山調べ)のうち、エントリー数が多かったベスト3は、地球環境科学、環境エネルギー、組込みシステム(電子回路やIoTなど)であった。いわゆる高校の科目別で分けると、生物、物理、化学の順。日本の理系高校生が、大学受験で選択する科目とまったく逆の傾向となっていることが面白い。
 また、これまでISEFで、日本が一度も賞をとったことのない分野がある。それは医学分野である。これはもちろん、日本において高校生が医学研究をすることは、システムとして確立していないからである。一方、アメリカでは、医学に興味のある優秀な高校生を、病院や研究所で受け入れ、研究させる体制が整っているという。現にここ7年のうち、4回はその分野でアメリカの高校生がThe Gordon E. Moore Award(最優秀賞)を受賞している。日米のサイエンス教育に対する違いは、大変興味深い。
 ISEFは科学のオリンピックであるから、現在のサイエンスの流行りとエントリー数には相関があるだろう。世界では、環境・医学・IT研究が主流であるのに対し、日本では動物科学や機械工学が多い。どちらが良い、悪いという問題ではない。日本は日本の良さがあり、それを追求していけば良いのかもしれない。しかし、本当は医学研究をしたいのにできない、本当はやりたい研究があるのに受験とは無関係だから…などの理由で、あきらめている高校生は少なくないのではないか。もし、そうだとしたら課題研究の指導に身をおいている一人として、歯がゆい思いをせずにはいられない。
 以上、「ISEFから見えてくるサイエンスの潮流」をメインに、お話ししてみたいと思う。

 



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