千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO.20(2009.03.31)

【1】県立柏高校と芝浦工大柏高校のSSH生徒研究発表会
【2】平成20年度関東近県SSH合同発表会
【3】第1回千葉県高等学校理数科課題研究発表会
【4】未来の科学者養成講座スタートアップ公開講座
【5】科学オリンピックの募集
【6】編集後記

 

【1】県立柏高校と芝浦工大柏高校のSSH生徒研究発表会

 県立柏高校と芝浦工大柏高校は、両校とも、平成16年度にスーパー・サイ

エンス・ハイスクール(SSH)に指定されました。3年の研究開発期間及び2
年の継続を経て、今年度でSSH校としては終了します。
 2月16日に県立柏高校のSSH生徒研究発表会が、2月28日に芝浦工大
柏高校のSSH事業報告会が行われました。

県立柏高校SSH生徒研究発表会(13:20?16:30)
 理数科2年サイエンスラボUで実施した課題研究の発表会は、2人?5人の
グループの発表会で、テーマは次のようなものでした。
  「ブロッケン現象に挑戦!」(地学)
  「光合成と葉の色の関係」(生物)
  「ジャイロ効果による安定性について」(物理)
  「ダイラタンシーとは」(化学)
  「3秒ルールの信憑性」(生物)
  「物質の衝撃吸収」(物理)
  「燃料電池における起電力について」(化学)
  「納豆菌に対する金属の殺菌作用」(生物)
  「海水の泡の研究?なぜ海水は泡立つのか?」(地学)
  「錆の研究」(化学)
  「糸電話の通話可能距離」(物理)

 一部の発表には、英語によるプレゼンテーションもありました。全体に、SSH
5年目で、生徒の発表もなかなか手慣れてきたように感じました。理数科2年
の課題研究を中心としたサイエンスラボUの他に、理数科1年のサイエンスラ
ボTがあります。これは、1,2学期で実験の基礎を学び、3学期にミニ課題研
究を行うものです。両者とも今後も継続していきます。

芝浦工大柏高校SSH事業報告会
 10:30?12:00 SSH指定5周年記念講演会
          桜井進氏:「雪月花の数学?日本で数学をする喜び?」
 13:40?15:10 SSCU(高2) 課題研究発表会(化学・物理分野)
  「風力発電」
  「自然エネルギーを用いた、光触媒による水分解」
  「紙飛行機」
  「水質浄化の研究」
  「バイオディーゼル燃料の研究」
  「ヒートアイランド現象を緩和しよう」
 15:20?16:20 SSCT(高1) 生命化学分野講義の取り組み
  「iPodとPCを利用したマウスの解剖」 奥田宏志教諭
 16:40?17:00 全体会

 芝浦工大柏高校の課題研究発表会は、例年のように日本語と英語のプレゼ
ンテーションが特徴です。今回は先輩の研究からテーマを受け継ぎ発展させた
ものが多くみられました。奥田先生の授業は、簡単な説明の後、生徒が一人
一人マウスを解剖して、スケッチしていきます。生徒は事前に実験手順をHPで
予習しているので、とてもスムースに実験に取りかかっていました。わからない
部分があると、生徒はiPod touchやPCの映像を見て実験を進めていました。
TTを利用した個別学習で、大変ユニークな授業でした。芝浦工大柏高校も、
県立柏高校と同様にSSHが終了してもSSCTとUという特別コースは継続し
ていきます。

 
 

【2】平成20年度関東近県SSH合同発表会

 3月22日(日)、早稲田大学理工学術院において、平成20年度関東近県
SSH合同発表会が行われました。第1回の合同発表会は16年度SSH採用
校の5校で、科学未来館で行われましたが、そのときと比べると参加校も増え、
ずいぶん盛大な発表会でした。参加SSH校は、関東近県SSH校(都立戸山
高校、東海大付属高輪台高校、千葉県立柏高校、埼玉県立浦和第一女子高
校、芝浦工大柏中高校、福島県立相馬高校、早稲田大学高等学院、早大本
庄高校、埼玉県立大宮高校、埼玉県立川越高校埼玉県立川越女子高校、多
摩川学園高等部)でした。参加人数は600人を超えていました。650部刷っ
た冊子が足りないという話を聞きました。

午前中は、主に16年度採用校が口頭発表を行いました。
  「関東ロームで土器は作れるか?」  都立戸山高校
  「バイオディーゼル燃料の研究」   芝浦工大柏高校
  「ゾウリムシにとって飢餓とは何か」 埼玉県立浦和第一女子高校
  「納豆菌に対する金属の静菌作用」  千葉県立柏高校
  「万華鏡の不思議」         福島県立相馬高校
  「魚はどのようにして群れを作るのか」東海大学付属高輪台高校

午後は、ポスター発表で、研究テーマの数は135でした。この数だけでもいか
に盛大な発表会であったかが想像できると思います。

 
 

【3】第1回千葉県高等学校理数科課題研究発表会

 3月22日(水)、千葉市立千葉高校で、第1回千葉県高等学校理数科課題
研究発表会が行われました。主催は、市立千葉高校と県立船橋高校で、参
加校はこの2校以外に、県立柏高校が加わりました。参加生徒は、市立千葉
高校79人、県立船橋高校70人、県立柏高校53人、合計202人でした。午
前中に口頭発表、午後ポスター発表がありました。午前の口頭発表は、以下
の12組でした。

・市立千葉高校
  「炎周辺の空気の流れの可視化」2年2名
  「バニリンを求めて」2年3名
  「BZ反応の研究」2年5名
  「ビー玉の流れ方」2年2名
・県立船橋高校
  「ブラウン運動における微粒子の移動に関する研究」2年2名
  「プリンス・ラバートの滴」1年4名
  「植物組織培養と物質の変化」1年2名
  「地震の観測」1年3名
・県立柏高校
  「納豆菌に対する金属の静菌作用」2年3名
  「錆の研究」2年3名
  「海水の泡の研究」2年4名
  「糸電話の通話可能距離」2年4名

9人の審査員による審査の結果は次の通りです。
  最優秀賞:「ビー玉の流れ方」、
  優秀賞 :「炎周辺の空気の流れの可視化」
        「プリンス・ラバートの滴」
        「錆の研究」

午後のポスター発表は63件(物理17,化学14,生物15,地学17) で、生
徒・先生を含め活発な質疑が交わされました。


 
 

【4】未来の科学者養成講座スタートアップ公開講座
 3月17日火曜日、未来の科学者養成講座 第1期スタートアップ公開講座を千葉
大学西千葉キャンパスにて開催しました。さらに柏地区においてインターネットを利
用し、遠隔講座が同時開催されました。中学生15名、高校生128名(内20名は遠
隔講座)計143名、一般参加を含めると200名以上の参加があり、盛会な公開講
座となりました。
 講座は田村教育学部長の開会のあいさつに続き、齋藤康千葉大学長の講演「研
究者としての私の歩み」があり、齋藤先生の臨床医としての診断及び治療にまつわ
る研究生活の一部が紹介され、先生の行った非常に珍しい脂質代謝異常の診断か
ら、治療法の開発に至った経緯について受講者に丁寧にお話しされました。受講者
は、ときおりメモをとりながら熱心に齋藤先生の話に聞き入っておりました。その後、
受講者はそれぞれ希望した生命科学、物理学、化学、工学の4つの基本的な実験
体験プログラムに参加しました。

 ・生命科学系実験「タンパク質を解析しよう」では、マイクロピペッターを使用し、ブ
  ラッドフォード法によるタンパク質濃度の測定に挑戦しました。
 ・物理系実験「光の屈折」ではレーザー光の屈折について、みんなが屈折率を求
  めるところまで、熱心に取り組みました。
 ・化学系実験「銅が銀?金?錬金術師の反応」では限られた時間の中、各自で銅
  板上への亜鉛の析出反応と、真鍮化反応を行い、鮮やかな色の変化を観察しま
  した。
 ・工学系実験「ミニロボットを作ろう」では慣れない手つきではんだ付けをする受講
  生らも、さまざまに工夫しながらロボットを作製し、工夫を凝らしていました。

 最後に受講生への修了証書の授与が行われ、公開講座を締めくくりました。

受講者の反応は良好で、下記のような感想が多数寄せられました。
 ・本当に面白かった。もっと時間をかけてやりたかった。
 ・今までに使ったことのない実験器具を使うことが出来とても面白かった。
 ・他の実験もぜひやりたいと思いました。
 ・簡単な作業でここまで楽しい気分になれたのにはとても驚いた。こういった機会が
  またあったら積極的に参加したい。
 ・今日は面白い実験を通して、科学への関心がとても高まったと思う。
  今後も、このような体験ができればよいと思っている。
 ・高校よりも施設のととのった大学の実験室で、実験できることはとてもうれしかっ
  たです。

 4月からはステップアップコースが開始され、受講者はさらに高度な課題に取り組
んでいく予定です。今後も参加者を募集してまいりますのでよろしくお願いいたします。

問い合わせ先:(メール) mirai-kagaku@office.chiba-u.jp 
(電話)  043-290-2584

 
 

【5】科学オリンピックの募集

 科学オリンピックには、国際数学オリンピック(IMO)、国際化学オリンピック
(IChO)、国際生物オリンピック(IBO)、国際物理オリンピック (IPhO)、国際情
報オリンピック(IOI)があります。その予選もかけた日本でのコンテストの応募
期間とウェブサイトを紹介します。各ウェブサイトには詳しい日程や過去問が
載っています。

日本数学オリンピック :2009年5月1日(金)? 10月31日(土)
               http://www.imojp.org
全国高校化学グランプリ:2009年5月18日(月)? 6月19日(金)
               http://gp.csj.jp
全国生物学コンテスト :2009年4月1日(水)? 5月下旬(予定)
  「生物チャレンジ」  http://www.jbo-info.jp
全国物理コンテスト  :2009年4月1日(水)? 4月30日(木)
  「物理チャレンジ 」 http://www.phys-challenge.jp
日本情報オリンピック :2009年9月 ? 12月(詳細未定)
              http://www.ioi-jp.org

 なお、化学グランプリ2009と生物チャレンジ2009の一次選考の千葉会場
は東邦大学習志野キャンパス、物理チャレンジ2009の第1チャレンジ理論問
題コンテストの千葉会場は千葉大学西千葉キャンパスで行われます。

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【6】編集後記
 2月、3月はSSH発表会、SSH合同発表会、千葉県理数科合同発表会未
来の科学者養成講座スタートアップ公開講座等各種のイベントが盛りだくさん
にありました。生徒の研究発表会に参加して、近年感じることは、生徒のプレ
ゼンテーション力が格段に上がっているということです。SSH校の生徒は外部
発表の場数を踏むことが多いので、それがとてもよい刺激になっているようで
す。新学習指導要領では、課題研究が新しい科目として登場して来ますが、
制度として科目を作るほかに、研究成果を外部に発表する機会を与えてあげ
ることも重要です。その意味では、3校ではありましたが、千葉県高等学校理
数科課題研究発表会の果たす役割は大きいと感じました。千葉県は理数科
発祥の地です。今後も、全国の理数教育をリードする役割を果たしてもらいた
いと思います。

三門 正吾
千葉大学 高大連携企画室
tel: 043-290-3526
fax: 043-290-3962
Email: s-mikado@faculty.chiba-u.jp


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