千葉大学|高大連携企画室

 

     
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千葉理数教育高大連携ニュース NO.38(2010.11.05)

【1】 千葉大学工学部化学教育フォーラムの開催について
【2】 「サイエンスアゴラ2010 先生のための語り場」のご案内
【3】 盛口 襄 先生のご冥福をお祈りいたします
【4】 (特別寄稿)東邦大学における高大連携について
【トピックス】 ノーベル化学賞「鈴木カップリング反応」をめぐって
【編集後記】

 

【1】千葉大学工学部化学教育フォーラムの開催について

 千葉大学工学部教育GP,日本化学会関東支部主催の高大連携理科教育推進のための化学教育フォーラムを開催いたします。化学教育にご関心をお持ちの多くの先生方のご参加をお待ちしております。

千葉大学工学部化学教育フォーラム
日時:12月3日(金) 16時30分 より
場所:千葉大学西千葉キャンパス(千葉市稲毛区弥生町1-33)
工学部1号棟3階 視聴覚室
(JR西千葉駅徒歩3分、南門を入って正面右手の建物)
参加費:無料
なおフォーラム終了後に懇親会を予定しておりますので是非ご参加下さい。

講演者
1.東邦大学理学部 古田寿昭 教授
「科学オリンピックが拓く高大連携の可能性」
2.県立八千代高等学校 山本孝二 教諭
「教育課程の変遷と高等学校での化学教育」 
3.千葉大学工学部 松本祥治 准教授
「多彩な顔をもつ”千葉県の特産品ヨウ素”」
4.千葉大学工学部 唐津 孝 教授
「千葉大学工学部における化学教育の取り組みについて」

参加申し込み及び問い合わせ先
千葉大学工学部共生応用化学科 坂本昌巳
(E-mail: sakamotom@faculty.chiba-u.jp)
詳細は工学部共生応用化学科のHPをご覧ください。
(URL: http://apchem.tc.chiba-u.jp/)

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【2】「サイエンスアゴラ2010 先生のための語り場」のご案内

先生のための語り場 〜持続可能な外部との連携に向けて〜
(サイエンスアゴラ2010)参加募集

      *サイエンスアゴラ (Science agora) とは「科学と社会をつなぐ」広場(アゴラ)となることを
       標榜し、2006年より毎年行われているシンポジウムである。独立行政法人科学技術振興
       機構が主催している。「科学と社会をつなぐ実現可能な企画」であれば誰でも出展できる
       ので、一般の人から研究者まで様々な出展がある。

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 このたび、日本科学未来館ではサイエンスアゴラ2010の一環として、先進的な理科教育や地域連携を行っている中・高校の先生、連携活動に意欲的な大学・研究所の研究者、理科教育に取り組んでいる地域の科学館の方を対象としたワークショップ「先生のための語り場 〜持続可能な外部との連携に向けて〜」を開催いたします。
 学校現場では、外部の機関と積極的な連携を図ることが求められるようになりました。しかしその一方で、
「時間」「費用」「人材」など連携のために乗り越えなければならない課題もあります。
 同じフィールドで活動する人たちと具体的な課題について議論≪グループディスカッション≫したのち、他のグループと共有し解決策を模索≪総合ディスカッション≫することで、継続性のある連携の方法について語り合いましょう。
http://sensei.e-miraikan.jp/uploader/src/file2.pdf

● 話題提供者
東京大学生産技術研究所「知の社会浸透」ユニット 特任研究員 川越 至桜 氏

● コメンテーター
千葉大学 特任教員 若月 聡 氏

<開催概要>
■開催日時: 2010年11月21日(日)12:45〜14:15
■開催場所: 日本科学未来館 7階 会議室3
(〒135-0064東京都江東区青海2-3-6 TEL03-3570-9151)
■対 象: 中高校の先生、大学・研究所の研究者、科学館スタッフなど連携の担い手
■定 員: 30名
■参 加 費: 無料
■申し込み: 下記よりお申込みください。
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/101025105138.html

■お問い合わせ
日本科学未来館 企画調整・普及展開部 普及展開課
科学ネットワーク担当 吉田健二
k-yoshida@miraikan.jst.go.jp
Tel:03-3570-9215

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【3】盛口 襄 先生のご冥福をお祈りいたします

 戦後まもなくから今日まで、日本の理科教育に計り知れない功績を残した盛口 襄 先生が先月末大腸ガンのため亡くなりました。八十二歳でした。先生は1950年北海道で教職に就き、しばらくして千葉県に移り県立安房南高校と県立千葉東高校で教鞭を執られました。ご退職後も渋谷教育学園幕張高校の講師として20年間、授業と研究の日々を過ごされました。
 「身近なモノを使った楽しく本質的な化学授業づくり」が先生の本領でしたが、「教師は教育者であると同時に科学者であれ」と、化学部の生徒を4度にわたりISEFに派遣するなど課題研究指導の草分けでもありました。
詩人としても活躍されました。先生の詩集をひもとくと、授業や研究のアイデアは詩作と同じ自由な心の働きから生まれることをうかがい知ることができます。
 そしてなによりも「仲間」を大切にされ、後輩たちの隠れた才能を引き出し伸ばすことに惜しみない力を注ぎ、それを喜びとされる方でした。先生を師と仰ぐ理科教師は全国100人は下らないでしょう。昨年度までJSECの審査員を務めるかたわら、死の直前まで無機物質からアミノ酸を合成する研究を大学といっしょに進め、詩作にふけり、化学エッセーを書きとめていました。
 お通夜と告別式には週日にもかかわらず全国からたくさんの教師たちが集まり先生のご遺志を継いでゆくことを誓い合いました。盛口先生のご冥福をお祈りいたします。

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【4】(特別寄稿)東邦大学における高大連携について

     *今回は東邦大学理学部で高大連携の取りまとめを担当されている今井利夫先生に
      寄稿いただきました。東邦大学にも高大連携事業に取り組んでおられる先生が多数
      おられます。高校生理科研究発表会でも物理、化学、生物の分野で審査員をつとめ
      ていただきました。今回は、東邦大学での活動についてご紹介をお願いしました。

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 近年、多くの大学で高大連携や地域社会との交流が活発に行われています。本学も開かれた大学として、地域との連携を強化し社会に貢献することが重要であると考えております。その一環として、理学部では先端的な研究の推進のみならず理系人材育成にも取り組んでいます。すなわち、在学中の学部学生・大学院生の教育は勿論のこと、次世代を担う高校生に対しても地域の高校との連携を充実させ科学に興味を持つ人材を育成する活動を行っています。
 具体的には、各種公開(体験)講座やキャンパス見学会、高校生が“大学での学び”に直接触れることができる模擬授業(含. 実験)の開催、SSH・SPP連携プログラムの実施、先生方の研修会、自然観察会(三番瀬、他)等の交流を通じて相互理解を深め、教育の質的向上に努めていきたいと考えております。
 現在、千葉県内の2校とは連携協定を締結しており、そのうちの1校とは、本学理学部教員による地道なSPP活動を通じて良好な関係を構築してきたことがきっかけとなり協定締結に至りました。また、他の1校とは、本学が文部科学省科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」事業に採択されたことから、その活動の一環として次世代の優れた女性研究者の育成を目的として協定を結ぶことになりました。女性の科学分野への進出を増やすことも次世代理系人材育成のポイントの一つです。従って、この連携は単に科学教育の支援にとどまらず、本学が女性研究者の多様なロールモデルを示していくことで、女性が科学分野に社会進出できる可能性を示していくことが重要であると考えています。
 今後共、本学は高校との双方向的な連携協力体制の構築に向けて努力して行く考えです。

                               今井 利夫 (東邦大学理学部 教授 教育開発センター長)

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【トピックス】ノーベル化学賞「鈴木カップリング反応」をめぐって

 鈴木 章、根岸英一両氏のノーベル賞は、暗いニュースばかりの中、久々に爽快な気分にさせてくれまし
た。今回は「鈴木カップリング」を中心にその反応のしくみと意義についてお話しします。
 ご存じのように有機化合物は炭素Cを骨格としています。天然には植物が、光合成をもとにC原子をどんどんつなげて糖類や脂肪などをあっという間に合成してしまいますが、人工合成でC原子どうしをつなげるのは、エチレンからポリエチレンを作るといった特別なケースを除くとけっこうむずかしいのです。
 そうは言っても化学専門の人ならアルドール反応、ウルツ反応、グリニャール反応などが浮かんできます
が、これらはかなり「わがまま」な反応で、特殊な条件で特別な相手でないとC原子どうしが結合してくれません(グリニャール反応は1滴の水があってもダメです)。その困難を解決し、C?C結合を簡単に広範に作れるようにしたのが二人の功績である、とまず結論しておきます。
 さてそのクロスカップリング反応は基本的に以下のような反応です。
A−a+ B−b → A−B + a−b   AとBが有機化合物のユニットで、右辺のA?Bの結合形成がクロスカップリングです。aは金属、bはヨウ素などの非金属です。これを冗談に「ダブル不倫反応」と呼んだ化学者がいますが、わかりやすいけど授業では使えません。AとBのユニットが同じ構造ならホモカップリングですが、たいていは異なるのでクロスカップリングとなります。
 クロスカップリングには何十種類もありますがやっぱり「わがまま」で制御が非常 に難しいのが特徴です。その原因はおもにA−a(有機金属化合物)の活性の高さ(不安定さ)にあります。A−aはB−bとだけでなく水やいろいろな有機化合物とたちまち反応してしまうからです。
 ここで鈴木さんはホウ素化学の権威ブラウン博士の下、A−aのaを金属でなくホ ウ素に替え、有機ホウ素化合物にすることを思いつきました。こいつは反応が鈍いので余計な副反応は起こらないし水溶液中でも反応できる、けれどもいかんせん反応速度が遅い。この問題を「アルカリ性でパラジウム触媒を用いる」という今まで誰もやらなかった方法により反応速度を一挙に1000倍にして解決したのが鈴木さんの業績というわけです。
 鈴木カップリングは条件制御が簡単で安価で、しかも危険な廃棄物が出ないことか ら医薬、農薬、プラスチック合成など産業界に一気に広まりました。今注目の有機ELディスプレイも鈴木カップリングがなければできないと言われています。実際鈴木カップリングは数兆円規模の新しい産業を創り出してしまったと言っても過言ではありません。同じ大発見でもこのように産業と結びつくと評価が上がる、とくにノーベル化学賞には近年その傾向が大きいようです。
 ところでまた手前味噌になってしまいますが「アルカリ性でパラジウム触媒を用いる」は、長年、千葉県立安房高校化学部が燃料電池の研究で使ってきた方法です。この条件では(意外にも!!)メタノールよりエタノールの方が優れた電池になることを発見し、その理由を追究して高い評価を得ました(2007)。
 つまりこの条件下ではエタノールのC−C結合が容易に切断されCO2とH2Oになってくれるのですが、その理由はクロスカップリングのC−C結合形成の逆反応をパラジウムが触媒するからと説明できます(触媒は正逆両反応を促進する)。あのころ安房高の生徒たちはノーベル化学賞とは逆向きの反応を研究していたのだと思うと楽しくなります。 

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【編集後記】

科学的発見が詩作と同じ創造的行為であることを初めて提唱した人は科学者や哲学者ではなく、詩人パーシー・シェリー(1792〜1822)であることをごく最近知りました。彼は「詩の擁護論」(1821)の中で、「詩はあらゆる科学を包含する」と高らかに宣言し、科学の創造性を文学や美術に見られる形の創造性と一緒に分類したということです(P.Bメダウォー「科学の限界」地人選書)。
当時のイギリスはハンフリー・デービー(少しのちにはマイケル・ファラデー)に象徴されるヨーロッパ随一の科学立国です。シェリー自身も科学への造詣が深く、その影響で妻のメアリーが史上初のSF作品「フランケンシュタイン」を著したのでした(1818 ここにもデービーの影響(電気化学)があると私は考えます)。
ところで昔から、詩を作るのと同じセンスで教材作りや小さな発見を繰り返す盛口襄先生を不思議に思っていましたが、「詩はあらゆる科学を包含する」をまさに地でいっていたのだ、と今更ながらに思います。盛口先生がシェリーの言葉を知っていたかどうかわかりませんが、何十年もいっしょにお酒を飲んできて一言もなかったことから、たぶんご存じなかったと思います。

野曽原友行

千葉大学高大連携企画室
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E-mail: t-nosohara@faculty.chiba-u.jp

 

 
   
 
 
 
 


 
 



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