千葉大学|高大連携企画室

 

     
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千葉理数教育高大連携ニュース NO.40(2011.1.18)

【1】 「課題研究交流会」を実施して(県立船橋高校 吉田昭彦)
【2】 「理科課題研究ガイドブック」を増刷しました
【3】 JSTより「科学コミュニケーション推進事業」のお知らせ
【4】 今年は「世界化学年」です
【トピックス】 微細藻類が地球を救う!?
【編集後記】

 

 【1】 「課題研究交流会」を実施して(県立船橋高校 吉田昭彦)

 今回、船橋高校が声かけ役になり課題研究交流会なる場を設けてみました。これは船橋高校SSHの一環と
してSSH交流会支援枠を利用した事業です。昨年度から始めた課題研究発表会は,どちらかと言うと審査も
行う大がかりな発表会なので,これに対し気軽に参加できて情報交換や互いの刺激の場になるような会、中
間発表や研究のアイデア段階でも参加できるような会があると良いんじゃないか、と始めたものです。今年は試行的でよいから、とにかくやってみようと言うことで、以下の3分野(3会場)で行いました。

◆物理・地学・数学分野(市川学園市川高校)11月27日(土)午後
  ポスター発表,生徒交流会
  参加数(ポスターのみを含む)物理34件,地学11件,数学5件
◆化学分野(県立船橋高校)11月27日(土)午後 
  ポスター発表,生徒交流
  参加数(ポスターのみを含む)41件
◆生物分野(市立千葉高校)12月23日(木)午前  
  口頭発表,ポスター発表,講評
  参加数(ポスターのみを含む)29件
  参加校:県船橋,市川,市千葉,県柏,柏の葉,芝工柏,長生

 いずれも多くの生徒や先生方に参加して頂き、当初の目的は概ね果たせたのではないかと考えています。
  これをうけて3月25日(金)には、今年度で第3回となる千葉県高等学校課題研究発表会を千葉県総合教育センターで実施します。大勢の参加をお待ちしております。また、23年度は交流会や発表会をさらに発展させ
る計画を検討中です。あわせてよろしくお願いいたします。

                             連絡先 千葉県立船橋高等学校 SSH推進委員長 吉田昭彦
                             TEL 047-422-2188/2189 FAX 047-426-0422
                             Email:fwht0701@nifty.com  

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【2】 「理科課題研究ガイドブック」を増刷しました

 我孫子高校の小泉治彦先生が県立柏高校時代のSSH指導をもとに著し、千葉大学先進科学センターが編集・発行した「理科課題研究ガイドブック」の評判は非常に高く、たちまち2000冊が底をついてしまい、その後
希望された方々にはご迷惑をおかけしていました。
  このたび(株)Intel のご支援を得て第2版第2刷4500冊を増刷し、すでにご注文いただいていた約1600部を年末に発送することができました。
  さらにご希望の方は下記の「注文方法」をご覧の上メールにてお申し込みください。なおpdfファイルとして
アップしてありますのでダウンロードも自由です。
             
     http://koudai.cfs.chiba-u.ac.jp/guidebook.html

 (また「訂正表」を掲載しました。ガイドブックをお持ちの方は上記ページをご覧の上ご訂正ください)

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【3】 JSTより「科学コミュニケーション推進事業」のお知らせ

 「地域における科学コミュニケーション活動を活性化させるため、自治体、大学、高専、公的研究機関を中核として、地域の機関や個人など様々な活動主体が、情報を共有し、相互に連携する地域ネットワーク構築のための支援です(原則3ヶ年度)。
  本プログラムは1月11日(火)より募集を開始しました。 なお、採択企画の実施者に活動を紹介いただく成果報告会および、平成23年度募集説明会を1月31日(大阪)、2月7日(東京)にて開催いたします」

 以上「JSTからのご案内」の抜粋でした。高校の先生方には直接関係ないかも知れませんが、科学コミュニケーションの地域ネットワーク作りのためにJSTが支援を行うというお知らせ(募集)です。詳しくは以下をご覧
ください。

     http://sciencecommunication.jst.go.jp/chiikinet/koubolist

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【4】 今年は「世界化学年」です

 今年は「世界化学年」です。2008年12月の国連総会においてエチオピアからの提案により決定されました。活動の中心団体はユネスコと「国際純正および応用化学連合」(IUPAC)となっています。
  その趣旨は「人類社会のこれまでの発展に対する化学の多大な貢献と、今後の持続可能社会の実現のために求められる化学の重要な役割を再確認すること」であり、具体的には「化学に対する社会の理解増進、
若い世代の化学への興味の喚起、創造的未来への化学者の熱意ある貢献への支援、女性の化学における
活躍の場の支援を目的に、世界各国が連動して化学に関する啓発・普及活動を行う」となっています。

 要するに @ 社会にもっと化学を理解してもらう
       A 青少年にもっと化学への興味を持ってもらう
       B 化学者がもっと貢献できるよう支援してもらう
       C とくに女性化学者が活躍できるようもっと支援してもらう 

 こういった運動を強力に進めていこうということです。
  統一テーマは "Chemistry-our life, our future"です。

 *「国際純正および応用化学連合」(IUPAC)
   1919年に設立された化学者の国際学術機関。各国の化学の学会がそのメンバーと
   なっている。国際科学会議の International Scientific Unions の一つで
   ある。元素名や化合物名についての国際基準(IUPAC命名法)を制定している組
   織として有名である。

 これを受けて昨年8月「世界化学年日本委員会」が設立されました。委員長は不斉合成の研究で2001年ノーベル化学賞を受賞した野依良治理化学研究所理事長です。
  そういうわけで今年は数多くの学協会、大学、産業界が協力してさまざまな化学関係の事業が展開されることになるでしょう(昨年、国際化学オリンピックが日本で開かれたのもその一環でした)。ひとつあげれば「科学館に化学を」の合い言葉で、各地の科学館が化学を中心に据えた展示や講座に力を入れるなどです。
  学校関係でも今年は化学を中心とした取り組みが奨励され、各種研究会や講演会が盛んになることでしょ
う。化学専門の先生方の出番の年です。
  ところで「なぜ2011年なのか」については正式な記述はないのですが、キュリー夫人がノーベル化学賞を受賞してから100周年に当たること、IUPACの前身である「国際化学協会」が設立されたのがやはり1911年であることなどが紹介されています。それはともかくとして、エネルギー環境問題、食糧問題などでせっぱ詰まっているこの時代、解決の主役となる化学に世界が注目するのは時宜にかなっていると考えます。

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【トピックス】 微細藻類が地球を救う!?

 12月半ば、筑波大のチームがすごい速さで炭化水素(石油)を合成する藻類を沖縄で発見し、これをうまく利用すれば将来日本が産油国になることも夢ではないというニュースが入りました。この藻類はオーランチオキトリウムという直径5〜15μmほどの微細藻類と呼ばれる単細胞生物です。これまで最も期待されていたボトリオコッカスという種の10倍の速さで炭化水素を合成する優れものです。
  微細藻類とは、要するに植物プランクトンのこと。30億年ほど前に出現して石油の起源となり、現在も食物連鎖の最底辺を構成して地球の全生命を支えています。光合成で脂肪をため込むのがふつうですが、1/10
くらいの種はもっぱら炭化水素を合成します。
脂肪や炭化水素は「浮き輪」の役目をし、水面にただよって十分に光を得るのに役立っています。オーランチオキトリウムなどは乾燥重量の75%が炭化水素という石油の固まりみたいなやつです。
  70年代にも微細藻類を燃料に使おうという動きがありましたが、安価な石油価格に押されて頓挫しました。
それが最近のエネルギー危機論や温暖化問題によって再び檜舞台に上がって来たわけです。CO2とミネラルと光さえ十分あれば深さ1m、1haのプールで年間1万トンの石油を作ることも可能というのはたしかに魅力的です。
  当然コストが問題です。現在でも医薬品や、DHAなどの生理活性物質の生産には微細藻類が利用されています。DHAは青魚ではなく植物プランクトンが合成していたのですね。 これら高品質バイオでは採算がとれても燃料ではそうは行きません。そこで荒れ地や休耕田を利用して大規模なプールを作ることによってコストダウンを図ることになるでしょう。食料生産と競合しないのは大きな利点です。
  いちばんのネックはどうやって炭化水素(オイル)を搾り取るか、だそうです。遠心分離では膨大な電気を消費するし、膜分離は目詰まりを起こす。凝集剤は毒性が問題と、それぞれ困難を抱えています(コロイド化学が大いに期待されそうですね)。また単細胞とは言っても、炭化水素を合成するまでには1万を超す代謝の過程が存在し、それらの反応メカニズムを解明することもオイルの産生を高める上で重要です。
  実用化ではオバマ政権の「グリーンニューディール」の波に乗ったアメリカがやっぱり一歩進んでいて、多くのベンチャー企業が大ヒットを狙っていますが、日本も大学と企業の共同研究が進みつつあります。
  時同じく、ノーベル賞の根岸英一さんが120人の研究者とともに金属触媒を使った「人工光合成」研究の一大プロジェクトを立ち上げようとしています(1/2のニュース)。つまりCO2から効率的にアルコールを化学合成しようというのです。生物を使う方法と触媒を使う方法。いずれにしてもこのような人類の未来に直結した研究で日本が世界をリードすべく、十分な予算手当をしてほしいとつくづく思います。

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【編集後記】

 昨年は10月に盛口 襄先生(82歳)、11月に稲葉 正先生(88歳)と、戦後の理科教育をリードしてきた化学、物理の先達が相次いで亡くなりました。
  お二人とも測り知れない成果と影響を残して去ってゆきましたが、権威におもねず、徹底的にモノに働きかけて学び、生徒と教師の「発見」に最高の価値を置き、世界をよりよくするために行動する姿勢は共通していました。
  「その時代が生んだ人間」というのは確かにいて、あとの人がどう逆立ちしたって追い越せないものですが、それでも追いかける気持ちは大切です。教師として必要にして十分な資質は「心の中に自分の先生がいることだ」と述べた思想家がいますが、実に名言ではないでしょうか。

 

 野曽原友行

 千葉大学高大連携企画室
 tel:043-290-3526
 fax:043-290-3962
 E-mail:t-nosohara@faculty.chiba-u.jp

 









 
   
 
 
 
 


 
 



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