千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO.47(2011.8.24)

【1】盛会だった「千葉サイエンススクールフェスティバル」
【2】「SSH生徒研究発表会」ご報告
【3】千葉大学「第5回高校生理科研究発表会」申し込み締め切り間近です
    
【編集後記】

 


【1】盛会だった「千葉サイエンススクールフェスティバル」

  8/6(土)千葉工業大学で開催された「千葉サイエンススクールフェスティバル」に参加しました。会場に足を踏み入れたとたん小学生たちの楽しそうな声でいっぱい。高校生たちがおもしろい実験実習を駆使して一所懸命のサービスです。2階、3階はがらっと変わって落ち着いた雰囲気の研究発表が中心。千葉大での発表や、学生科学賞・JSECへの応募もひかえ、もうひとつ飛躍を狙う意気込みが各ブースに感じられました。
  今年のISEF(国際学生科学技術フェア)3位の田中里桜さん(千葉高2年)による「有孔虫による堆積古環境の推定」には、そのファイトと根気強さに脱帽。また、SSH(神戸)で口頭発表が予定されている小山田伸明さん(県船高3年)の「消しゴムに学ぶ、その接着作用と応用」は、地味ながら独自のアイデアで着実に小さな発見を重ねていく態度に感心しました。
 
  以下、主催者を代表して吉田昭彦先生より、皆様へのお礼のご挨拶をいただきました。

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  船橋高校コアSSH事業である千葉サイエンススクールネット(略してSSネット)の取組として,8月6日(土),千葉工業大学(津田沼キャンパス)にて,千葉サイエンススクールフェスティバルを開催しました。おかげさまで盛会のうちに無事終了しました。御来場の皆様,また参加校および協力機関の皆様,誠にありがとうございました。
  本会は,小中学生の興味関心を喚起して高校の取り組みにつなげ,また高校における探究活動を活性化することをねらいとし,千葉県教育委員会および千葉工業大学の後援のもとに開催しました。県立船橋・市川学園・長生・県立柏・市立千葉・柏の葉・県立千葉・千葉東・東葛・木更津の生徒による科学教室(実験工作展)や研究発表を中心に,講演会(千葉工大fuRo所長・古田貴之氏,開成高校・齊藤幸一氏),高校・大学紹介等を交えたイベントであり,SSネットとしては最初の大きな事業でした。
  当日は科学教室65件,研究発表25件と多数の参加がありました。参加者数も連携高校生徒300名,連携小中学生・保護者・引率教員320名,一般入場者280名,教員等100名,合計約1000名と予想を上回り,大変な賑わいとなりました。
  今回は初回であり,試行的な色合いが強かったのですが,今後はこの経験を踏まえて一層有効な実施方法を検討していきます。また,SSネットでは,この後,多数のサイエンスセミナー(合同講座),課題研究交流会および発表会,指導研究会を実施しますので,是非ご参加下さい。詳しくは下記ウェブサイトをご覧下さい。

http://www.chiba-ssnet.com/

SSネット事務局・吉田昭彦(県立船橋高校)

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【2】「SSH生徒研究発表会」ご報告

  8/11(木)〜12(金)、今年は「神戸国際展示場」で開催された「SSH生徒研究発表会」に講評者の一人として参加してきました。
  開会セレモニーのあとの講演は審良静男(あきらしずお)先生(大阪大学医学部)による「免疫の不思議・私が開いた免疫学の新しい扉」。審良先生は、「世界で最も注目された研究者ランキング」で2005,2006と1位に選ばれた日本が世界に誇る科学者の一人です。
  免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」があり、世界の研究者の目はずっと「獲得免疫」に注がれて来ましたが、臨床医から研究の場に戻った審良先生が注目し直したのが「自然免疫」でした。そして「忘れられていた自然免疫」における白血球の挙動こそが、「獲得免疫」のスイッチとして働いていることを明らかにしたのです。
  昨年の益川 敏英先生の講演とは打って変わって冗談なし、雑談なしの研究内容1本で迫る1時間でしたがまさに迫力満点でした。抗生物質の開発と利用に限界が見られる昨今、「免疫を自由に操れるなら、もっと多くの病気を治療できるはずです」と語る審良先生の言葉の重みを強く感じました。

 研究発表は口頭発表18校(うち審査対象はSSH指定3年目校の9校で、船橋高校小山田伸明さんの「消しゴムの研究」もその中の1つです)とポスター発表134校からなります。
  結果、今年度のトップ賞(文部科学大臣表彰)は兵庫県立三田祥雲館高校の「接合型色素増感太陽電池」に決まりました。発表の立派さはともかくとして、毎年感心させられるのは、質問する高校生たちのレベルの高さです。一瞬の合間もなく挙手が続き、以前から考えていたのかと思うほど的を射た質問内容には驚かされます。また互いに相手を尊重し合った清々しい応答には、私たちも見習わなければいけないな、とも感じました。
  合計5時間のポスター発表はできる限り多くの発表を見て回らなければ、と努力しましたが、ついつい興味を持つと20分くらい過ぎてしまうこともたびたびで、全部で20校の発表しか聞けませんでしたが、彼ら彼女らの目の輝きと真摯な研究態度に感激し、知らないこともたくさん知って勉強になりました。
  30校の「ポスター発表賞」には市川高校の「蛍光物質による化学発光の実験的考察」も選ばれました。市川高校のみなさんおめでとうございます。
  詳しい審査結果は以下をご覧ください。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/attach/1309902.htm

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【3】千葉大学「第5回高校生理科研究発表会」申し込み締め切り間近です

  夏休みも終わりに近づきました。そして「第5回高校生理科研究発表会」の締め切りもあと一週間です。
大学、高校の先生方、企業の専門家の方々を審査員として多数そろえ、現在準備を進めております。
  今年の講演は早稲田大学高等学院の中島 康先生と、筑波大学大学院の柴田恭幸さんで、ともに高校生の研究指導に直結した内容ですから、生徒の皆さん、先生方にも大きなヒントを与えてくれるはずです。ご期待ください。
  不思議なことに、「粘りに粘った発表前日に大きな発見があった」というエピソードはいろいろな方から聞いています。どうぞ前日の9月23日(金)まで粘りに粘っていただきたいと思います。
  ただし申し込み締め切り9月1日(木)24:00を是非ともお守りください。この時刻を1秒でも過ぎた場合は受け付けられませんので、ご承知おき願います。今年も皆さんとの活気あふれる研究発表の1日を、スタッフ一同、心より楽しみにしております。
 
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【編集後記】

  この夏、「高校生の研究指導法」について2度お話しする機会をいただきました。僭越ながら、私がとくに強調したのは「小さなことでもよいから、できる限り具体的で、明瞭な課題を生徒に突きつけることが発見の秘訣である」ということでした。
  するとある本にこんな記述がありました。研究にはボーア型研究(好奇心に導かれる研究)とパスツール型研究(課題解決型研究)があり、最近は圧倒的にパスツール型が成功を収めている、というのです。科学者と高校生では、研究テーマに難易度の違いはあっても、人の心理状態としては共通部分が多いのかも知れませんね。

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野曽原友行
千葉大学高大連携企画室
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E−mail:t-nosohara@faculty.chiba-u.jp


 
   
 
 
 
 


 
 



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