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千葉理数教育高大連携ニュース NO.51(2011.12.7)


【1】水戸第二高校「BZ反応の新発見」で米専門紙掲載へ
【2】JSEC(高校生科学技術チャレンジ)の結果が出ました
【3】1/5(木)「理科自由・課題研究推進フォラム」のご案内
【4】第6回高校生理科研究発表会の日程が決まりました
【編集後記】

 

【1】水戸第二高校「BZ反応の新発見」で米専門紙掲載へ

  「部活リケジョ、化学大発見、米紙に掲載へ」(11/17読売新聞)。 あるいはNHK「ニュースウォッチ9」
(11/24放映)で、ご存じの方も多いと思います。水戸二高の数理科学同好会による「BZ反応における新たな発見」がアメリカの専門誌に掲載されることになり、大きな反響を呼びました。
  水戸二高は千葉大学主催「高校生理科研究発表会」の第1回からの常連校であり、顧問の沢畠博之先生には以前から研究や生徒たちのお話をうかがっておりました。そして今や時の人であり、たいへんお忙しい身にも拘わらず、「連携ニュース」への寄稿を快く引き受けてくださいました。以下、ご紹介します。

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1.BZ反応とは
  化学反応の中で反応中間体の濃度が周期的に増減するものがあり、これを化学振動反応といいます。これまで溶液の色、pH、温度などが周期的に変化する様々な化学振動反応が見いだされています。その古典的でたぶん最も多く研究されているものの一つにベローゾフ−ジャボチンスキー(Belousov−Zhabotinsky)反応、略してBZ反応があります。たとえば金属触媒にフェロイン(ferroin、鉄(II)錯体)を用いると、溶液の色については赤色(ferroin)と青色(ferrin、鉄(III)錯体)、酸化還元電位については低電位([ferrin]/[ferroin] >1)と高電位([ferrin]/[ferroin] < 1)を周期的にくり返します。またこのBZ溶液をシャーレなどに薄く広げると同心円状やスパイラル状のパターンが自発的に形成されることも有名です。
  熱力学第二法則よると、閉鎖系での化学反応は十分時間が経過すると最終的には化学平衡状態に到達することになっています。さらに化学平衡状態近傍の非平衡状態では単調に平衡状態に近づいています。しかしBZ反応は酸化還元反応がゆっくり起こり、初期状態を平衡状態から遠く離れた非平衡状態に取った場合、振動状態やパターン形成が自発的に起こる。これを理論的に実証したのが1977年にノーベル化学賞を受賞したイリヤ・プリゴジンの散逸構造理論です。私たち生命体もこの非平衡状態の中で生命現象を営んでいるのです。

2.どこが新しい発見か?
  ネットやニュースなどでは一部、「実験後にBZ溶液を放置してカラオケへいって帰ってきたら“黄色”になっていたことを発見した」とういうように誤って表現され困っています。BZ溶液の色が長時間経過後、黄色になる
ことは閉鎖系でフェロイン触媒のBZ反応をやったことがある人はだいたい知っていると思われます。そしてまさに市立千葉高校の高野裕先生率いるグループが以前よりその黄色の溶液について精力的に調べられています。
  本校のBZ反応の研究を行っていた生徒が、赤と青で振動していた溶液の色が、2日後黄色に変わっていたことに素直に驚き、これをキッカケにして“振動はどのように止まったのだろう?”と疑問に思ったことです。そして実験で調べて行く中で、偶然振動状態が停止してしばらく定常状態を経た後、再び振動が蘇ることをみつけたことと、その振動のRebirth現象が起こる濃度領域を状態分岐図として示すことができたことが新しい部分です。

3.なぜ評価を受けたのか?
  新聞、ニュース、ネット等においては、「女子高生が実験後の後片付けをサボってカラオケに行ったら思いがけず発見をしてしまった」ということが評価(?)を受けたと思われます。
  研究者からの評価についてはまだ分かりません。今回論文を投稿する前に、これまで報告されていない内容であるということは、ご指導頂いた千葉大学の*北畑裕之先生やテキサス大学のペトロスキー先生の知り合いを通してBZ反応の専門家に原稿を送って見て頂き、一応確認をとっております。海外ではZombieReaction(Z-B reaction)とユーモアをもって紹介してくれたサイトがあります。
  高校の諸先生方からは、今回の報道で実験後の片付けを指導できない指導力不足の教員ということが判明してしまい、いろいろなところでお叱りを受け、もしくは笑い話のネタにされております。これに関してはごもっとものことであり、お詫びするとともに反省の上今後は気をつけて生徒に指導していきたいと決意したところでございます。

4.最後に
  今回、論文はすんなりアクセプトされたわけではなく、最初Kondepudi 教授の勧めでScienceに投稿したが速攻で却下され、次に投稿したJ.Phys.Chem.Lett.でも却下、三度目の正直で今回のJ.Phys.chem.Aに投稿しました。レフリーとのやり取りもいろいろなことを要求され、さらに極めつけは東日本大震災で実験室のある校舎が大きく損壊し、現在も使用不能です。それでも何とか論文が受理されたのはペトロスキー先生や北畑先生の献身的なご協力があったからです。この場をお借りしてお礼申し上げます。

                                            (茨城県立水戸第二高校 沢畠 博之)

*北畑裕之:千葉大学 大学院理学研究科基盤理学専攻 物理学コース准教授 
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【2】JSEC(高校生科学技術チャレンジ)の結果が出ました

  12/3(土)JSECの国内最終審査結果が発表されました。
  千葉県内からの入賞はありませんでしたが、「第5回高校生理科研究発表会」で千葉大学長賞を受賞した富山県立砺波高校3年・松村末利子さんの「キクの日持ち性向上に関与する要因解析〜体内生理の観点から〜」が、みごと特別協賛社賞の「富士通賞」を受賞しました。
  詳しくは以下をご覧ください。

http://www.asahi.com/shimbun/jsec/format/JSEC2011jushouitiran.pdf

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【3】1/5(木)「理科自由・課題研究推進フォラム」のご案内

  先月号でもお知らせしましたが、千葉市科学館の主催による課題研究指導のための研修会です(千葉大学共催 千葉県教育委員会後援)。
  県内の先生方が書いた「課題研究指導ガイドブック(仮称)」をテキストに使って、課題研究の指導法について徹底討論を行います。
  千葉県内の公立高校長には教育庁指導課長名で依頼文書等が近日中に届く予定となっております。まだ数名のゆとりがありますので興味関心のある方は是非ご参加ください。
  主なレポート発表は以下の通りです。

1.「課題研究0からの再出発」鎌形 豊(長生高校・物理)
2.「課題研究における一考察〜これまでの経験をもとに〜」
     高野 裕(市立千葉高校・化学)
3.「生物部の研究の軌跡」高石哲男(東葛飾高校・生物)
4.「地学課題研究暗中模索の記」吉田昭彦(県立船橋高校・地学)

実施日 平成24年1月5日(木)13:00〜17:00 
会場  千葉市科学館(〒260-0013 千葉市中央区中央4丁目5番1号)
申し込み
    @おなまえ A勤務する学校名 B連絡のためのメールアドレスを記載の上、12/15(木)までに以下へ申し込んでください。
           kenkyu@kagakukanQ.com 

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【4】第6回高校生理科研究発表会の日程が決まりました

  第6回高校生理科研究発表会は2012年(平成24年)9月29日土曜日に千葉大学西千葉キャンパスにて開催することが決定しました。詳細については後日お知らせします。引き続き皆様の積極的なご参加を期待しております。

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【編集後記】

  「科学オリンピック」について一般の人たちはどう考えているのでしょう。高校時代の同期生(62歳)100名あまりに聞いてみました。7名から返信があり、これらは全て好意的な意見でした。うち2通を紹介します。

A.科学オリンピックの結果が報道されるたび、とても興味深く見ており
  ます。今日のような、若者が自宅学習をしなくなった時代に、メダルを
  取るなんてすごいことです。さらに、毎年各部門2000人もの高校生が応
  募する由、これには感動を覚えました。こうした若者への支援、是非と
  も継続し、強化していただきたく思います。もっとマスコミでも取り上
  げ、彼らを賞賛して欲しい。なでしこジャパンが国民栄誉賞なら、メダ
  ル獲得者は、高校生栄誉賞を授与してはどうでしょうか。

B.私は、「1%のエリートと99%の従順な子ども」(このようにオリン
  ピックを批判する人が多い)を、共に育てていくことが大切と思います。
  どちらがどちら、ではなくてです。出来る子は伸ばしてあげたい。基礎
  学力に困り、教室の椅子に座っていられない子にも、何とか基礎学力を
  身につけて卒業して欲しいと思います。繰り返しになりますが、出来る
  子とそうでもない子とは、決して対立項ではないと思います。両方とも
  にそれぞれに成長を支援してあげることだろうと。

  千葉には何人かの極めて積極的な指導者がいる反面、参加率は全国46位と低調です。学生科学賞などではすばらしい伝統があるのに残念なことです。「科学オリンのピック」は、若い先生方が生徒と一緒になってエネルギーをぶつける格好の目標になり得ると私は思うのですが、いかがでしょうか。

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野曽原友行
千葉大学高大連携企画室
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E−mail:t-nosohara@faculty.chiba-u.jp


 
   
 
 
 
 


 
 



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