千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO67(2013.04.11)

【1】高大連携企画室の名称変更と新体制について
【2】千葉県立佐倉高校がSSHに指定されました
【3】「サイエンススタジオCHIBA」第6期スタートアップ公開講座のご案内
【4】「君も物理チャレンジを!」講習会に参加しませんか?
【特別寄稿】学力世界一、フィンランドの教育を視察して(小泉治彦)
【編集後記】

 

【1】高大連携企画室の名称変更と新体制について

  千葉大学高大連携企画室は、今年度より「千葉大学高大連携専門部会」 へと名称変更されたことをまずご報告いたします。
  「部会長」は、前「室長」の工藤 一浩 教授(工学部電気電子工学科) が引き続き担当いたします。
  また長く事務を担当していた鈴木昌男が退職し、代わって小野寺重喜が加わった新体制となりました。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
 職員紹介については以下のウェブサイトをご覧ください。

http://koudai.cfs.chiba-u.ac.jp/introduction.html

  勤務日:五十嵐和廣・・(月)(火)(水)10:00〜17:00
      野曽原友行・・(月)(火)(木)10:00〜17:00
      小野寺重喜・・(月)〜(金)   9:00〜16:00

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【2】千葉県立佐倉高校がSSHに指定されました

  千葉県立佐倉高校が本年度よりSSHに指定されました。佐倉高校の特に理科の先生方はまた忙しくなりますが、力を合わせて頑張ってまいりましょう。
  これで現在、千葉県内のSSHは、県立船橋高校、市川高校、県立長生高校、県立柏高校、市立千葉高校、県立佐倉高校の6校となりました。
  なお全国の指定校総数は201校で、昨年度より23校増加しています。

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【3】「サイエンススタジオCHIBA」第6期スタートアップ公開講座のご案内

  サイエンススタジオCHIBAは、JST未来の科学者養成講座をもとに開発した、大学が支援する理科が好きな生徒のための実験講座です。現在はJST次世代科学者育成プログラムの支援により実施しております。この講座では1年間の継続プログラムの中で子どもたちの「科学する心」の育成に取り組んでおります。過去の講座では、受講生が自らの課題研究のテーマを発展させ、さまざまな科学コンテストで活躍しております。
  第6期講座スタートのこの機会に、先生方のご協力のもと科学・技術の好きな子どもたちの才能を伸ばしてゆきたいと考えております。先生方から子どもたちに千葉大学サイエンススタジオCHIBAの取り組みを伝えいただければ幸いです。

サイエンススタジオCHIBA
http://ssc.e.chiba-u.jp/
http://www.edu.chiba-u.jp/ssc/index.html

JST次世代科学者育成プログラム
http://rikai.jst.go.jp/fsp/index.html
JST未来の科学者養成講座
http://rikai.jst.go.jp/miraisci/

  第1期〜第3期まで続いた千葉大学「未来の科学者養成講座」が、「サイエンススタジオCHIBA」として再始動し、今年で第6期目を迎えます。受講生はまずスタートアップコースでのマッチングのあと、ステップアップコースにおいて様々な科学実験体験や学習を行い、その中から課題研究に自主的に取り組む者がマスターコースへ進級します。 

  マスターコースでは大学教員やチューターの支援のもと、課題研究に取り組み、研究発表を行い、飛び入学やAO入学に活用可能な資料の作成などを行います。さらに科学(論文)コンテストへの支援を受けることもできます。

  今回の「第6期スタートアップ公開講座」はその第1回講座ですから、「サイエンススタジオCHIBA」受講希望者は必ず参加してください。ただし今回(4/29)の「第6期スタートアップ公開講座」のみの参加も可能です。


場所・日程は以下の通りです。
場所:千葉大学西千葉キャンパス 教育学部大講堂

日程:4月29日(月/祝日)

第1部 講演および講座説明
12:30 受付開始
13:00 開会挨拶
13:05 実験講座
@〜Dから希望する講座を一つ選んでメールまたはFAXで登録してください。
@ 生命科学「食べ物に含まれるタンパク質の量を解析しよう 」(定員:20名)
A 生命科学「植物の色素を分離しよう」(定員:10名)
B 物理学「光の屈折」(定員:20名)
C 化学「銅が銀?金?錬金術師の反応」(定員:20名)
D 工学「色素増感太陽電池を作ろう」(定員:20名)
E 数学「アルキメデス〜古代のサイエンス・クリエイター〜」(定員:20名)
16:00 終了予定

「サイエンススタジオCHIBA」受講希望者の登録方法
・個人または学校を通してメールまたはFAXで登録
・登録内容:氏名、学校、学年、電話番号、メールアドレス
・お問い合わせ・登録先:E-mail  mirai-kagaku@office.chiba-u.jp
FAX: 043−290−2584

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【4】「君も物理チャレンジを!」講習会に参加しませんか? 

  前号でもお誘いしましたが、今年で4回目となる「物理チャレンジ」応援のための講習会の募集です。締め切りが4/19(金)と迫ってまいりました。
  講習会は5/6(月祝)、5/12(日)、5/19(日)、の3日間、理論問題、実験問題ともに十分な対策を行います。
  先生方、物理が好きで得意な生徒さんをチャレンジさせてください。そして当講習会に是非参加させてください。
  詳しくは以下のウェブサイトをご覧ください。
 
  http://www.cfs.chiba-u.ac.jp/event/130312.html
 
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【特別寄稿】学力世界一、フィンランドの教育を視察して〜前編〜

   「なぜ日本の子どもたちは、勉強の意欲が低いのだろうか?」
「フィンランドでは、教えるよりまず、まず学ぼうとする子どもを育てるという。疑問の答はフィンランドにあるのではないか?」。
 そう考えて海外研修に応募した小泉治彦先生。12日間の出張研修の成果を2回に分けて報告していただきます。

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学力世界一、フィンランドの教育を視察して〜前編〜

                                    千葉県立我孫子高校 小泉 治彦

  昨年の10月、(独)教員研修センターの「教育課題研修指導者海外派遣プログラム」としてフィンランドの教育施設を視察しました。フィンランドの教育は、PISA(OECDの国際学力到達度調査)での高成績や、いわゆる“フィンランド・メソッド”と呼ばれる教育法などで知られるようになりました。「学力世界一」といわれるフィンランドではどのような教育が行われているのか。「知識はあるが勉強の意欲に欠ける」と言われる日本の教育は劣っているのか。短期間の訪問でしたが、教育に対する政府および国民の考え方の違いに驚かされることが多々ありました。私が見たフィンランドの教育について、2回に分けて報告をします。報告の機会をくださった千葉大学高大連携専門部会に心より感謝申し上げます。

1. 誰でもいつでも学べる国

●多様な教育の道筋
  小学1年から9年間の基礎教育を終えると、約半数は大学入試を前提とした普通高校へ、残りは職業高校へと進学します。高校入試はなく、中学3年(9年生)の段階で第5希望まで志望高校を記入し、進学先は内申点で決まります。高校間のレベルの違いはあまりないので、大抵は家の近くの学校に進むそうです。さらに、9年生を卒業するとき、高校へ進学せずに“10年生”という選択をすることもできます。
  職業高校は一般の人も多数在籍しており、その道のプロから様々な職業の実際を学ぶことができるため、近年とても人気が高いそうです。大学へは普通高校から進むことが多いのですが、職業学校を卒業しても受験することができます。普通高校では必修・選択の教科学習があり、学習面では日本の高校によく似ています。
  大学に入る前、あるいは入学後にアルバイトや職業体験のために進級を遅らせる場合も多く、さらに18歳以上になると兵役もあります。そのために学年ごとの年齢はさまざまで、日本のように“現役で進学したい”とい
う意識はありません。いろいろな道を用意し、それをできるだけ自由に生徒自身が選んで、社会で自立できるような学力をつけていくことが教育の目標なのです。

●教育機会の平等
  フィンランドでは、教育を受ける権利を保障し、学ぶ意志があればいつでもどこでも学校に通える環境を整備しています。大学まで学費は無料で、小学校では文房具も無料で支給されます。家庭の収入や住んでいる地域による差別を徹底的に排除し、誰でも教育のチャンスを平等に得られるようになっています。また、希望すれば同じ学年を2度繰り返したり、高校入学を1年延ばすこともできます。もちろん男女共学。障害のある子どもは以前は別の学校に通っていましたが、現在は全て他の子どもたちと同じ学校に通っています。「平等」が原則ですが、機械的な平等ではなく、子どもの個性を最大限尊重した個別の教育を行っていることも注目されます。


2.個人を大切にした教育

●地方・学校への裁量権の委譲
  1990年代から、フィンランドでは教育に関する権限の地方への委譲と学校選択制が導入されました。国家教育委員会が策定するナショナル・コア・カリキュラムは教育の枠組みだけを規定するものとなり、具体的な指導
内容や学年ごとの履修単位数などは地方行政や各学校が決めることができるようになりました。また、教員の業績評価は一切行われません。
  さらに1992年には教科書検定が廃止され、自由に教科書を編成することができるようになりました。特に理科の教科書には低学年から高度な内容が入っていますが、すべてを覚える必要はなく、教師の裁量の下に子どもたちは興味を持ちながら学んでいくことができます。

●少人数での徹底した基礎教育
  小・中学校の授業は、1クラス10人〜20人で行われます。正規の教員のほか、補助教員や教育実習の学生もいます。授業についていけない子どもは、別の先生が廊下に連れ出して個人的に教えてくれます。さらに特定の科目で遅れのある子どもや、大人数では勉強しにくい子どもには10人以下のスモールクラスも用意され、一定の期間、別クラスで学ぶこともあります。落ちこぼれを作らないための方策が色々用意されているのです。
  ところで、一人だけ連れ出されて恥ずかしいかと思うのですが、フィンランドでは他人と比べることはありません。自分がわかることが大事なので、それを囃したてたり特別視することはないのです。

●学校は単位制。クラス・部活動はなし
  小学校は日本とほぼ同じで全教科を同じ教師が教えるのが基本ですが、中学以上になると単位制で、固定したクラスはなくなります。授業は必修と選択に分かれ、どの授業をとったらいいのかはカウンセラーからアドバイスを受けて生徒が決めます。生徒には主として見てくれる先生はいますが、クラスとしての活動はありません。また、放課後の部活動も存在しません。午後4時を過ぎると、学校はシーンと静まり返ります。スポーツや芸術などの活動は、授業の中や地域のクラブ活動として行われています。

●高い教師力
  教員は社会的な評価が高く、医師と並んで人気の高い職業です。教員には教科の専門性のほか、子どもの成長・発達過程の理解や学習理論・指導技術の獲得、社会事象への理解など、高度な専門性と卓越した指導力が求められます。また、教えるだけではなく自ら研究を行い、生涯を通じて学んでいくという態度、指導者であると同時に研究者であることが求められます。大学では、修士まで5年間での教育のほか、最低6カ月に及ぶ現場での実習が必要とされます。
  訪問した学校の職員室は、リビングルームのような家具が配置され、いずれもカラフルでアットホームな雰囲気でした。先生方は、生徒に関するさまざまな情報を交換しながら、個々の生徒に対応した教育を行っています。

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【編集後記】

  山中伸弥さんと益川敏英さんの対談『「大発見」の思考法』(文春新書)は課題研究をやっている高校生にぜひ読ませたい本です。益川さんの天才にも驚かされますが、何と言っても実験科学者としての山中さんの言葉が感動的です。

   ”仮説なんか1割当たればたいしたもんや。私はよく学生に「ごちゃごち ゃ考えんと、実験やってみい」と言  うんです。自分も全然わからないから「やってみい」と言ってるだけなんですけど、困ったらとりあえず実験  をやってみる。すると、また何か違う現象が出てきて、それがヒントになることがよくあります”

   ”「独創的な研究をしろ」と言われます。でもはっきり言ってですね、私はそんな独創的なことなんか、全然  思いつかないんです。その点、実験をやってみて思うのは、自然の方がはるかに独創的だということです。
  人間が全く思いもかけなかった「ヘンな顔」を、自然は見せてくれる。そのヘンなことをきちんと受けとめ、追  い求めていけばひとりでに独創的な次のステップへ行けるような気がしています”

   ”私は臨床医としては全然人の役に立ちませんでした。だから死ぬまでに、医者らしいことをしたいのです  。医者として人の役に立ったと自分で思えないと、死んだ父に対して申し訳が立ちません”

  また山中さんはプレゼンテーション力を鍛えることを非常に高く評価していて、研究自体に与えた影響だけでなく、「人生が変わった」とさえ述べています。その理由はぜひ本文をご覧ください。

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野曽原友行

千葉大学高大連携専門部会
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E−mail:t-nosohara@faculty.chiba-u.jp























 
   
 
 
 
 


 
 



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