千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO71(2013.7.22)

【1】国際物理オリンピック・国際生物学オリンピック結果報告
【2】8/3(土)「第3回千葉サイエンススクールフェスティバル」のご案内
【3】8/7(水)、8/8(木)「SSH生徒研究発表会」のご案内
【4】千葉大学主催「第7回高校生理科研究発表会」講演者紹介など
【編集後記】


 

【1】国際物理オリンピック・国際生物学オリンピック結果報告

 デンマークで行われていた第44回国際物理オリンピックにおける日本の高校生の成績は銀メダル2、銅メダル3でした。昨年は金2,銀3でしたから、やや残念な結果でした。
 詳しくは以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307140439.html

 また、スイスで行われていた国際生物学オリンピックの日本の高校生の成績は、金メダル1,銀メダル3でした(昨年は銀4)。
 詳しくは以下のウェブサイトをご覧ください。
http://bioimpact.jp/news/detail/313131 
 物理オリンピック、生物学オリンピック入賞者の皆さん、おめでとうございます。

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【2】8/3(土)「第3回千葉サイエンススクールフェスティバル」のご案内

 前号でもお知らせしましたが、「千葉サイエンススクールネット」の主催で、8月3日(土)、千葉工業大学を会場として「第3回千葉サイエンススクールフェスティバル」が開催されます。興味関心のある生徒諸君、先生方是非おいでください。入場は無料です。詳しくは以下をご覧ください。
http://www.chiba-ssnet.com/A_SSFes/index.html

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【3】8/7(水)、8/8(木)「SSH生徒研究発表会」のご案内

 今年も8/7(水)、8/8(木)の2日間、全国SSH校による、代表研究の口頭発表およびポスター発表が行われます。誰でも自由に見学できます。
 今年の講演は東京女子医科大学教授の岡野光夫(おかのてるお)先生。高分子化学(工学部)の出身でありながら、再生医療の第一人者あり、その成果は「人類の宝」と世界から賞賛されています。
 2日目の全体会は圧巻です。三千人以上の生徒が一堂に会し、選ばれた研究発表に続いて、非常に活発な質疑応答が繰り広げられます。日本の高校生たちのたくましさが実感できることでしょう。
 
1.概要
平成25年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会
日時:平成25年8月7日(水)〜8日(木)
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール、展示ホールB
参加校数 201校(この他、海外の数校)
ポスター発表校数 198校(この他、海外の数校)

2. 日程
第1日8月7日(水) 9:00〜10:00 全体会
(開会、講演)岡野 光夫 先生

10:30〜17:00 ポスター発表
17:30〜18:00 全体会(代表校選出)

第2日8月8日(木) 9:00〜11:20 全体会(代表校発表)
12:20〜13:40 ポスター発表、片付け
14:00〜15:00 全体会(閉会、表彰)

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【4】千葉大学主催「第7回高校生理科研究発表会」講演者紹介など

 いよいよ夏休み。「日本学生科学賞」や「JSEC」に挑戦する高校生には最後の追い込みです。ご指導の先生方、暑い中、本当にご苦労様です。そして千葉大学主催の「第7回高校生理科研究発表会」もお忘れなく。今年は9/28(土)昨年同様西千葉キャンパスの教育学部を中心とした会場で開催されます。締め切り日まであと1ヶ月と少々です。申し込み方法等は以下をご覧ください。
http://koudai.cfs.chiba-u.ac.jp/happyoukai%20oubo/oubo7.htm

 今年の講演には初めて大学の先生をお招きしました。東京大学大学院理学系研究科教授の鍵 裕之先生です。
 テーマは「役に立つ研究と役に立たない研究」。大学で行われている研究とはどういうものなのか、研究者を目指すにはどんな心構えが大切か、など示唆に富んだお話が聞けると思います。概要は以下の紹介文をご覧ください。
 なお講演には、前回のニュースで紹介した長生高校の橋本先生と千葉東高校の北川先生による「ISEF2013視察報告」もあります。こちらもどうぞご期待ください。

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鍵 裕之先生講演 「役に立つ研究と役に立たない研究」

 大学で行われている研究にもいろいろなものがある。病気を治す薬を開発したり、これまでなかったような性質を持つ新材料を開発するなど、私たちの生活を豊かにするような研究が盛んに行われている。一方、ヒッグス粒子の発見や新元素の合成など、直接すぐには我々の役には立たない研究も大学(特に理学部)では行われている。我々の生活を直接的には豊かにしない研究も、これまで人類がわからなかった(知らなかった)ことがわかる、という意味で、我々の「心」を豊かにしてくれるに違いない。
 我々の研究グループが力を入れている研究は、地球や惑星の深部に水や水素がどのような形(構造)で取り込まれているか?という問題である。地球の原料となった物質(隕石)には多くの水が含まれているが、現在の地球の海水の量は、地球誕生時から比べると1/100程度しかない。私が学生の頃までは、地球が進化する高温の過程で地球外へ揮発してなくなったと考えられてきたが、現在は地球深部に海の何倍にも相当する水が取り込まれうると考えられている。我々は新しい大規模な測定装置を建設し、この謎を解くことを目標にして研究を進めている。我々の研究は明日の生活を豊かにするとは到底思えないが、人類の心を豊かにすることになるだろう。
 講演では私たちの研究も紹介しながら、大学で行われている研究についてお話ししたい。
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鍵 裕之(かぎ ひろゆき 東京大学大学院理学系研究科教授)
 東京大学理学部化学科卒業後、同大学院に進学し、博士課程を中途退学して、
筑波大学物質工学系助手に着任。ニューヨーク州立大学研究員を経て、東京大学
大学院理学系研究科に転任。2010年より現職。
 博士論文では、隕石衝突説や放射線照射説などさまざまな成因論が報告されてい
る天然多結晶ダイヤモンド(カルボナド)の起源解明に取り組んだ。現在は、地殻化学
実験施設(Geochemical Research Center)で地球深部物質や高圧下での物質の振る
舞いなどをテーマとして研究をしている。大学では化学科と地学科の講義を担当。

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【編集後記】

 科学論の名著「科学の限界」(地人選書)の中で、著者メダウォーは、「科学者は偶然の恩恵を過小に評価している」と述べるあるノーベル賞科学者を批判しています。曰く、「多くの努力と熟慮によって心の準備ができている人にしか偶然の恩恵はやってこない」(ちなみにメダウォーもノーベル賞科学者です)。
 ところで偶然の恩恵(発見)にも2種類があります。
 1つは、思っても見なかった物事を偶然に発見すること。科学史ではコロンブスのアメリカ大陸、レントゲンのX線、パーキンの合成染料モーブ、フレミングのペニシリンなどで、これをセレンディピテイ(serendipity:探してもいない貴重なものを見つける才能)といいます。
 一方、アルキメデスが金の王冠に銀が混ざっていないか調べる方法を、お風呂に入った瞬間に発見した「アルキメデスの法則」や、ノーベルのダイナマイト、ケクレのベンゼンの構造、最近では白川英樹さんの導電性プラスチックの発見(触媒量を1000倍間違えた)など、その解決に努力している過程で生まれる偶然の発見があり、これを擬セレンディピテイ(pseudo serendipity)といいます。どちらの方が価値があるなどということはありません。
 高校生の研究にもセレンディピテイ、擬セレンディピテイのチャンスはたくさんあるし、実際数多くありました。もちろん「多くの努力と熟慮によって心の準備ができている高校生」だと思います。

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野曽原友行

千葉大学高大連携企画室
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E−mail:t-nosohara@faculty.chiba-u.jp

























 
   
 
 
 
 


 
 



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