千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO72(2013.8.27)

【1】「千葉サイエンススクールフェスティバル」報告
【2】「長生高校SSH 中学生自由研究のための科学実験教室」報告
【3】「SSH生徒研究発表会」報告
【4】「ISEFの国際ルールとガイドライン」について
【5】千葉大学主催「第7回高校生理科研究発表会」8/29(木)受付開始
【編集後記】

 

【1】「千葉サイエンススクールフェスティバル」報告

                                千葉サイエンススクールネット(コアSSH)事務局
                                  千葉県立船橋高等学校      吉田 昭彦

  千葉サイエンススクールネット(船橋高校コアSSH)の取組として、8月3日(土)、千葉工業大学(津田沼キャンパス)にて、千葉サイエンススクールフェスティバルを開催しました。3回目の実施でしたが、おかげさまで盛会のうちに無事終了することができました。御来場の皆様、また参加校および協力機関の皆様、誠にありがとうございました。
  本会は、高校生の活性化と交流、小中学生の興味関心の喚起と一般への普及をねらいとして、千葉県教育委員会および千葉工業大学の後援のもとに開催しました。県立船橋・市川学園・長生・県立柏・市立千葉・成東・佐原・県立千葉・千葉東・東葛・佐倉・木更津・安房・袖ヶ浦・成田・我孫子の16校から実験工作展65件,研究紹介3件の参加がありました。また、講演会(千葉工大・先川原先生、松戸市立小金中科学部、千葉中・大山先生、東邦大・西尾先生)や大学・企業等ブース(8件)も昨年度より一層充実しました。参加者数は連携高校生徒280名、来場者(連携小中学生を含む)780名、教員等80名、合計約1130名(仮集計)とほぼ昨年度並でした。
  本会のコアSSH(3年間)としての実施は今回が最後です。今後はこれまでの経験を踏まえ、事業を一層発展させるべく、実施枠・実施体制を検討するつもりです。皆様には、率直なご意見・ご感想を頂けるとありがたいです。
  また、SSネットでは、この後も多数のサイエンスセミナー、課題研究交流会および発表会、指導研究会等を実施しますので、是非ご参加下さい。詳しくは下記ウェブサイトにアップしています。
http://www.chiba-ssnet.com/

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【2】「長生高校SSH 中学生自由研究のための科学実験教室」報告

               千葉県立長生高等学校 教諭 片岡勝規

  平成25年7月24日(水)長生高等学校の図書室にて、第1回のSSH公開講座「中学生自由研究のための科学実験教室」を開催しました。

  この講座の対象は、夷隅・長生地区ならびに大網白里市の中学生、中学校の先生、保護者の皆さんでした。当初の予定では中学生の定員を30名で設定していたのですが、予定数を超えて、38名の中学生の皆さんに申込をいただき、小中学校の先生方、保護者の皆さんを加え、総勢50名弱の参加
となりました。

  この企画の基本的な目的は、中学生の夏休みの自由研究をサポートすることです。そして、これから自由研究を行おうとしている中学生に、理科研究の方法や研究のまとめ方を教えることを通して、理科研究の楽しさを知ってもらい、地区の中学生のサイエンス志向をさらに高めようという点が次の段階の目的になります。

  その目的を達成するために、千葉大学高大連携専門部会の野曽原友行先生をお招きして、「中学生ための自由研究ポイント解説」と題した講演をお願いしました。内容は、自由研究のテーマの決め方、研究計画の立て方、研究の進め方、科学論文のまとめ方などで、実際の中学生の研究を例に挙げながら、わかりやすく解説していただきました。中学生たちにも好評で、アンケートには「書き方がよく分からなかったので参考になりました」「わたしも、研究をしてみたくなりました」などの声が寄せられました。野曽原先生にはお忙しい中素晴らしい講演をいただき、ありがとうございました。この場を借りて感謝申し上げます。

  野曽原先生の講演の後には、「夏休み科学実験教室」と題して、長生高校の物理担当の教員の指導の下、振り子の高さを変えて速度を測定する実験を行いながら、自由研究に使える実験の方法やデータの取り方、まとめ方などを学びました。ここでは、グラフの書き方や、誤差をできるだけ減らすデータの取り方など、自由研究に使える方法が中学生たちの参考になったようです。

  科学実験教室の後には、中学生の希望者を対象に「自由研究個別相談」を行いました。これは、自由研究のテーマ決めや、実験の方法などの個々の質問について、本校の理科職員(物理・化学・生物・地学)が個別にアドバイスをするものです。これも、自由研究をやりたいけれども、まだ具体的な方法までたどり着いていない中学生たちにとっては、実りのあるものになったと思います。

  小中学校の先生方、保護者向けには、「自由研究個別相談」と平行して、「自由研究指導法学習会」を行いました。これは、千葉大学の野曽原先生を囲み、本校職員と小中学校理科の先生方、保護者の皆さんが情報交換と意見交換を行うもので、自由研究の時間をなかなか取り切れない中学校の現状や、保護者や先生方の自由研究サポートの在り方について様々な意見が交わされました。

  今回が初めての試みではありましたが、我々高校の教員にとっても得るものが多く、また、夏休みの自由研究の宿題に悩む中学生や、ハイレベルな研究にチャレンジしたい中学生のために、また、地区のサイエンス志向の中学生を増やすために、是非ともこの行事は来年度以降も継続していきたいと考えております。

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【3】「SSH生徒研究発表会」報告

  恒例の「SSH生徒研究発表会」が8/7(水)、8(木)の2日間、パシフィコ横浜で開催され、全国201の指定校と海外招待18校の生徒や先生方など約6400人が参加しました。

  開会セレモニーのあとの講演は東京女子医科大学副学長の岡野光夫(おかのてるお)先生による「細胞組織で治療する再生医療テクノロジー」でした。
  岡野先生は工学部のご出身で、医学と工学の融合がライフワーク。現在、高分子膜上に心臓、肝臓、肺、食道、角膜、歯周などに使える細胞シートを作り、根本治療に役立てています。例えば、昔なら胸を切り開かなければできなかった食道ガンの手術も、内視鏡で患部を切り取り、細胞シートをペタペタ貼り付けるだけで治せるようになっているそうです。
  そしてこの技術の最大の味方が細胞シートの原料を大量に供給してくれるiPS細胞とのこと。対症療法ではなく、治せない病気やけがを治すのが21世紀の医療であるという先生の信念に基づいた情熱あふれる言葉は、会場の三千人を超す高校生たちに大きな感動を与えました。
 
  今年の研究発表も、基本的にすべてポスター発表です。科学大好き、研究大好きの高校生たちとの6時間に及ぶやりとりは常に楽しく有益でした。
  2日目はSSH3年目の38校から選出された4校による口頭発表と「最終審査」が中心です。結果、今年度のトップ賞(文部科学大臣表彰)は茨城県立水戸第二高校3年の小沼 萌さんの「アカガエル2種の繁殖期の研究」(生物)に決まりました。
 JST理事長賞を受賞した他の3校も含め、発表は実にみごとでしたが、いつも感心させられるのは質問する高校生たちのレベルの高さです。一瞬の合間もなく挙手が続き、以前から考えていたのかと思うほど的を射た質問内容には驚かされます。互いを尊重し合う応答ぶりも清々しく、日本の高校生の頼もしさを実感できるひとときでした。
  より詳しい結果は以下をご覧ください。
http://scienceportal.jp/news/daily/1308/1308091.html

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【4】「ISEFの国際ルールとガイドライン」について

  このことについては以前もお知らせしました(NO39 2010.12.10)が、科学研究に関わるすべての高校生、保護者、教師、指導者が守るべき国際ルールであり、とても大切なことです。特に関係の先生方は是非一度目を通していただきたいと思います。
  たとえば「脊椎動物を対象とした研究に関するルール」の項では、「脊椎動物を研究に使用することに代わる手段を模索・検討すること」「瞬間的な痛みを上回る苦痛を脊椎動物に与えたり、脊椎動物を故意に殺すことを計画した研究計画は禁止されている」など倫理的なルールがあります。
  危険な化学物質の取り扱いについても同様です。また「継続研究」について、内容や期間に厳密な決まりがあること知っておくべきでしょう。詳しくは以下の、NSS(日本サイエンスサービス)による和訳をご覧ください。
 http://www.isef.jp/guideline/IntelISEFGuidline2013.pdf

  なお、この項を掲載するに当たっては、JSECの創設に尽力され、その審査委員代表も務めてこられた千葉大学大学院・上野信雄教授より、「生徒の研究を指導する者にとって、必読のガイドラインですから周知を図ってください」との依頼があったことを申し添えます。上野先生は今、上記「和訳」の訂正版を作成中です。
 
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【5】千葉大学主催「第7回高校生理科研究発表会」8/29(木)受付開始

  夏休みも終わりに近づき、「第6回高校生理科研究発表会」の締め切りもあと1週間と迫ってまいりました。先生方、残暑厳しい中、生徒さんへのご指導ほんとうにご苦労様です。

  今年は例年とは申し込み方法が変更になりましたので、特にご注意ください。
http://koudai.cfs.chiba-u.ac.jp/happyoukai%20oubo/oubo7.htm

  申し込み締め切り9月3日(火)24:00です。
 この時刻を1秒でも過ぎた場合は受け付けられませんので、ご理解、ご協力をお願いいたします。
  また毎年、@タイトルが28字をオーバーしている。応募する分野の記載がない A生徒の氏名・ふりがなが抜けている B研究代表者に○印がついていない C発表要旨が300字をオーバーしている などの不十分な申込があり、苦労しております。申込後の研究内容やメンバーの変更・訂正も基本的にできません。

  どうぞ、上記応募方法を十分吟味の上、必ず先生の手で、くれぐれもお間違いのないようお申し込みくださるようお願いいたします。 
  今年も皆さんとの活気あふれる研究発表の1日を、スタッフ一同楽しみにしております。

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【編集後記】

  【3】の「SSH生徒研究発表会」で文部科学大臣賞を受賞した水戸第二高校3年の小沼 萌さんは、5歳のころから近くの水路に棲むアカガエルを観察するのを毎年楽しみにしていたそうです。
 やがてその地域ではニホンアカガエルとヤマアカガエルの産卵時期が、全国の他の地域と比べて逆転していることに気付き、その理由を解明する研究に没頭します。そして、ヤマアカガエルの幼生がニホンアカガエルを攻撃し、侵入を阻止していることを突き止めます。
        ・・・・・・・・・・・・・・・
「でもどうしてニホンアカガエルは先に産卵してしまわないのでしょうか?」
「それがまだはっきりとはわからないのです。これからは遺伝子レベルの研究がもっと大切になりそうです」
「やはり将来の希望は科学者ですか?」
「科学者になれるかどうかはわかりませんが、研究はまだまだ続けていきたいです」
「今年のトップ賞になりそうな予感ですが、自信のほどは?」
「ありがとうございます。でも賞を取ることが目的ではありません。とにかくカエルが好きで、研究が楽しくて、一生懸命やっているうちにここまで来てしまいました」
        ・・・・・・・・・・・・・・・
  JST理事長の中村道治先生も、彼女の「12年にわたる研究」を高く評価し、「皆さんもより独自性のある、高校生らしい研究を」と結びました。子どもたちに科学的な興味を芽生えさせるには、まず何よりも身近な自然の存在が大切であることを再認識させられた今年の発表会でした。

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野曽原友行

千葉大学高大連携企画室
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E−mail:t-nosohara@faculty.chiba-u.jp



























 
   
 
 
 
 


 
 



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