千葉理数教育高大連携ニュース
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千葉理数教育高大連携ニュース NO118(2017.07.01)

【1】「千葉大学理学部生物学科サマースクール」参加者募集中

 理学部生物学科では平成29年8月24日(木)、25日(金)の2日間、千葉大学西千葉キャンパス理学部 4号館1F 生物学実習室に於いて高校生を対象として講義や実験を行います。書籍やインターネットからは得ることができない生物学の醍醐味を知り、大学で行われている研究の雰囲気を味わうことができます。
 サマースクールの詳しい内容・お申し込みは、下記のウェブサイトをご覧ください。
http://www.cfs.chiba-u.jp/koudai-renkei/news/2017/files/h29summerschool.pdf

【2】「第11回 高校生理科研究発表会」の講演者及び講演内容の概略(1)

題目 「課題研究で人生は変わる」
講演者 東邦大学理学部 講師 村本哲哉 先生
内容  現在、私の研究グループでは、細胞内で起こる生命現象を可視化する技術を開発しながら、細胞の分化やリプログラミングを理解する研究を行っています。私の研究者としての原点には、みなさんも取り組んでいる「課題研究」があります。小学6年生の時、近所の河原で見かけた小さなカニの行動に魅せられ、カニの観察にのめり込みました。その当時は、ただのカニ好き少年で、夏休みの自由研究の課題として、カニの研究に取り組んでみた程度でした。しかし、カニへの興味はそこで終わらず、科学コンテストを経験するうちに、新たな発見の喜び、研究内容をまとめて伝えることの楽しさを学び、気がついたときには科学研究の国際大会であるISEF(国際学生科学技術フェア)日本代表に選ばれていました。初めての海外、初めての英語プレゼン、そして初めての日本代表。感受性豊かな高校生にとっては、人生を変える経験となりました。その後、ISEFに出場したOB/OGと共に大学院在学中にNPO法人日本サイエンスサービス(NSS)を設立し、日本代表に対する事前合宿研修を14年間にわたって行っているほか、毎年ISEF現地取材を続けています。ISEFに出場して受賞できる割合は約25%です。しかし、ISEFに出場した100%の人が得ることのできるものがあります。それは、人生を変えるような経験です。みなさんの取り組んだ「課題研究」の先にあるもの、それをお見せしながら私からの応援メッセージをお伝えします。
題目 「Intel ISEF 2017 視察報告」
講演者 千葉県立佐倉高等学校 教諭 志賀裕樹 先生
内容  今年5月、アメリカLAで行われたIntel ISEF 2017(国際学生科学技術フェア)のJSEC(日本科学技術チャレンジ)*日本代表チームに同行する機会を千葉大学から与えて頂きました。普段、理数科の生徒に対して課題研究を指導している者として、いつか行けたら良いなあという漠然とした夢が現実となり、いろいろな意味で夢のような1週間を過ごすことが出来たと同時に、ジュニア世代の世界レベルの高さや厳しい現実にも直面しました。
 例えば、皆さんは自分達が行った実験、観察をどのくらい正確に記録していますか?その記録量(ノートなど)はどのくらいですか?また、実験を全く同じ条件でいつでも再現出来ますか?自分が測定などに使用している機器の原理、仕組み、そこから得られるデータの意味をきちんと理解できていますか?自分が研究に用いている試薬などのリスクについてどの程度考えた事がありますか?そもそもエタノール水溶液(10数%の濃度)が危険な薬品で使用に留意する事など考えたことがありますか? 皆さんは体力に自信が有りますか?
 ISEFに参加するチームや個人は、世界約75カ国や地域を代表した発表ですから研究内容は何れも立派で、中には高校生がここまでやるの?大学や研究機関で行なっているのでは? と思えるような発表も少なくありませんでした。しかし、それぞれのブースでパネルや展示物をよく見て説明を聞いてみると、研究へのアプローチの仕方や彼らの実験ノートや資料などの量や質に違いがあることが分かりました。その中には今日からでも皆さんの気持ちひとつで取り入れ改善していけるような事が幾つもありました。今から改善できる事を少しずつ取り入れていくことで皆さんの研究は加速度的に変容していくと思います。
 今日の発表会まで頑張って来た皆さんはきっとこれからも科学を好きになって研究を続けていく事と思います。今日の話から自分もISEF目指し来年のPittsburgh大会に出てみたい!先ず、これだけは明日から改善して研究してみよう!と思って貰えるようにお話ししたいと思います。
 *ISEFに日本から参加するのは、JSEC,日本学生科学賞の上位入賞者

【3】「君も物理チャレンジを!2017」物理講習会が開催されました

 千葉大学先進科学センターは、千葉市科学館とNPO法人物理オリンピック日本委員会(JPhO)と共催し、高校生向け物理講習会「君も物理チャレンジを!2017」を、5月7日から6月11日のうち4日間にわけて開催し、21名の参加がありました。
 講習会は、物理学を専門とする本学教授等が講師となり、JPhOが実施する「物理チャレンジ」の第1チャレンジの過去問を教材として、模試を解説する方法で授業が進められました。実験指導では、JPhO近藤泰洋理事(元東北大学教授)による誘導起電力のデジタルオシロスコープによる測定実験、渦電流による制動力の測定実験、レポートのまとめ方・書き方のポイントや極意などについて指導等が行われました。
 受講生の中には、「説明資料に掲載されていた磁気に関するクーロンの法則と電気に関するクーロンの法則を関連させて、磁気量とは何ですか。電気量(電荷)のようなものですか。」といった素朴ではあるが奥の深い内容の質問をぶつけて来る生徒や、「電流が磁界から受ける力に関する実験を学校でおこなった、その時に磁石が無くても力が働く、と聞いたけど磁石が無いのに電流は何から力を受けているんですか。」と今回の講義に関係づけた質問をする生徒もいて、次世代を担う若き物理学者の誕生が期待されます。
 千葉大学は「物理チャレンジ」の成績優秀者に、先進科学プログラム(飛び入学)の筆記試験免除を行っており、今後もこの講習会を継続的に開催する予定です。

【4】呉慧怡さんがISEF2017エネルギー・化学部門の2等を受賞

 米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されたIntel ISEF 2017で市川学園市川高校3年の呉慧怡(ごけいい)さんがエネルギー・化学部門、の2等に選ばれました。呉慧怡さんの行った研究は「Artificial Photosynthesis: Novel Visible Light Response and Formic Acid Generation from Carbon Dioxide Using Tantalum Oxide/Tantalum Plate」というものです。
 誠におめでとうございます。

詳しくは以下をご覧ください。
http://isef.jp/news/2017/05/-intel-isef-2017grand-award19-1-2-3-2.html

【編集後記】

 今月は波の重ね合わせに関する話題です。位置の異なる2点から発生した波が空間の1点で重なったとします。ご存じのとおり重ね合わせの原理により2つの波のそれぞれの変位を加え合わせればよいのですが、この2つの波の進行方向はそれぞれ異なりますので振動方向も同じとは限りません。このような2つの波を重ね合わせても完全には打ち消すことはできないはずですが、どのように考えますか。

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