【2】県立柏中央高校化学部日本学生科学賞とJSECでダブル受賞
県立柏中央高校化学部は今回、日本学生科学賞とJSEC(Japan Science & Engineering Challenge) でそれぞれ旭化成賞とJFEスチール賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
旭化成賞(日本学生科学賞)
「ギ酸によるフェーリング液の還元反応と銀鏡反応の研究」
堤 朝風(千葉県立柏中央高等学校1年)
日本学生科学賞については下記のURLをご参照ください。
http://www.jssa.net/index.php
この研究は、千葉大学の第2回高校生理科研究発表会で、千葉大学学長賞を受賞しています。
JFEスチール賞(JSEC)
「遷移金属の共沈法による可視光応答型光触媒の新規合成の開発」
石井 健治(千葉県立柏中央高等学校)
JSEC2008については下記のURLをご参照ください。
http://www.asahi.com/ad/clients/08jsec/index.html
この研究は、千葉大学の第2回高校生理科研究発表会で、優秀賞を受賞しています。
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それぞれの研究を指導された山本喜一先生と中島哲人先生からコメントをいただいていますので紹介します。
「ギ酸によるフェーリング液の還元反応と銀鏡反応の研究」について
県立柏中央高校 山本 喜一
この研究は2007年度大学入試センター試験でギ酸がフェーリング液を還元することを前提とした問題が出され、それに対して大手予備校が質問状を出したことがきっかけとなった。フェーリング液が還元されるとCu2Oの沈殿が生成されるので、それをきちんと定量すれば、決着がつくのではないかと考えて、ベルトラン法という方法を使って定量をはじめた。ところが生成されるCu2Oの粒子が小さく、その量も少なかったため、ベルトラン法をそのまま使うことができなかった。そこで、試薬の濃度を下げ、ろ過法に代えて遠心分離法にするなどの試行錯誤の末、やっと定量できるようになったのは7月に入ってからのことだった。また、実験を進めているうちに、還元力を持っていない酢酸や乳酸、塩酸、硫酸などもフェーリング液と反応させる実験が必要であることに気づいた。
このようなわけで、論文を〆切に間に合わせるために、夏休みの多くを実験に費やすことになった。暑い中ではあったが、同じような実験を毎日のように繰り返した堤君の粘り強さがあったので、データをそろえることができた。そして、そのデータから「ギ酸はフェーリング液を還元しない」という結論を導き出すことができた。
今後は、還元力を持つはずのギ酸がフェーリング反応を起こさない理由について実験し、何らかの結論を得たいと思っている。
「遷移金属の共沈法による可視光応答型光触媒の新規合成の研究」について
県立柏中央高校 中島 哲人
JSEC2008最終選考会に化学部から2組出場した。石井健治君の「遷移金属の共沈法による可視光応答型光触媒の新規合成の研究」は協賛社のJFEスチール賞を受賞し、2009年5月ネバダ州リノで開催される国際学生科学技術フェア(ISEF)にサイエンスリポーターとして派遣されることになった。化学部では光触媒で環境浄化に取り組んでいて、石井君は基礎基本の酸化チタン光触媒の合成の研究から始めた。ろ過の過程で、誤って銅化合物の廃液を混合し、有色の粉末ができた。このことをヒントにして、遷移金属の水酸化物と水酸化チタンを共沈させる方法により、可視光応答型光触媒の新規合成法の開発に成功した。張ヶ谷勇人君も「銀鏡反応によるアクリル板を使ったプラスチック鏡作り」を発表した。
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