千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO.18(2009.01.21)

【1】県立船橋高校大月亮太君、生物オリンピック日本代表に!
【2】県立柏中央高校化学部日本学生科学賞とJSECでダブル受賞
【3】平成21年度SPPの募集案内(再確認)
【4】編集後記


 

【1】県立船橋高校大月亮太君、生物オリンピック日本代表に!
国際生物学オリンピック日本委員会(委員長:毛利秀雄)は、第20回国際生物学オリンピックの日本代表4名を決定しました。この4名の中に、県立船橋高校の大月亮太君(2年)が選ばれました。第20回大会は2009年7月12日から 19日の8日間、茨城県つくば市で開催されます。
代表は、全国2,482名の応募者から三回にわたる選考試験を経て選ばれました。今後、大学教官や専門家も交えた国際生物学オリンピック日本委員会のプロジェクトチームによる強化トレーニングを受け、代表として日本初となる金メダルの獲得に挑みます。

下記は大月亮太君のコメントです。
「小さな頃から虫や生き物が好きで、生物学に興味を持ちました。選ばれて正直びっくりしていますが、選ばれたからには、日本初の金メダル目指して一生懸命頑張りたいと思います。」
詳しい内容は下記のURLをご参照ください。

http://www.jbo-info.jp/#Anchor-49575

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大月亮太君を指導された石井規雄先生からコメントをいただいているので紹介します。

国際生物学オリンピックを目指して
県立船橋高校 石井規雄
1990年に発足した国際生物学オリンピックに、日本は未参加でしたが2004年のオーストラリア大会にオブザーバーとして視察したのを機に、翌年の中国大会から参加することになりました。短い期間の中で準備も組織も十分でないままの、見切り発車の形で実施することになりました。準備のための資金はSSH該当校からの出資で、そのために参加生徒は該当校のみとなりました。私はこの一次予選(2005年3月21日)の試験監督を依頼され、その後の二次予選(2005年5月3日?5月5日)の試験官も依頼され、短期間で内容を掴むことが出来ました。選ばれた10人の生徒は皆優秀ではありますが、教えている生徒と比較して大きな違いはありませんでした。そこで、当時の私のクラスの生徒と、何人かの二年生が集まり、アルゼンチン大会を目指しての特訓を開始しました。出来るだけ誤魔化さない授業を心がけていましたから、教科書は使わずに資料集を教科書代わりとして、授業を展開していました。特訓でも同様に、資料集の詳細な部分まで講義し、理解を深めさせました。一次予選は最高が13位で、惜しくも二次予選には進めませんでした。翌年のカナダ大会を目指し、理数科の生徒のみの特訓を行いました。一次予選は17位でしたが、この時から19人が最終選考に残りましたので、そのための実験系の特訓を行いました。しかし、代表4人にも補欠2人にも残れませんでした。そしてインド大会を目指して特訓を行い、一次予選で9位が最高位となりました。この年は二次予選の後に残った10人を最終選考するというもので、最後まで残りましたが代表にはなれませんでした。そしていよいよ日本大会を目指すことになりました。例年にない一次予選の早期実施に不満を持ちながら特訓を実施しました。結果は最高位が1位で、15位が続きました。その後実験系の特訓を実施しいくつかは予想通りの問題でしたが、二次予選の中で最高位が3位、もう1人は銅メダルでしたが、最終選考には残れませんでした。そして最終選考が勤労感謝の日に実施され、大月亮太君が日本代表の4人に入りました。一次予選は今後7月に実施し、二次予選を8月に実施することが決まりました。中高一貫校が非常に有利な状況となりました。一次予選は理論問題のマークシート方式ですから、教科書の学習では予選の通過は出来ません。それは生物Tの中に多くの間違いや、古すぎる記述があることと、内容が貧弱過ぎることにあります。生物Uにしても古い記述や間違いがありすぎます。ですから教科書はオリンピックでは、全く信用も出来ず、使うことも出来ないのです。二次予選は実験系です。必ずスケッチかそれに相当する問題が出題されます。スケッチの必要性は、国際的には必須の要件として理解されています。そしてDNAの電気泳動があります。これはSPPのお陰で、今では一年生がゲルの作成から全て1人で実施できる状態になっています。そして解剖が入っています。節足動物・軟体動物・被子植物が良く使われます。残る1題は、データ処理に関するものや、その時によって違う問題が出されます。三次試験は高度な理論問題です。今回はそれ程の難問は無かったと言っていますが、国際大会では相当な難問も用意されているようです。今後も特訓を実施して、次の代表を出すことだけでなく、生物学の真の面白さを生徒に実感させられればと考えております。

 

【2】県立柏中央高校化学部日本学生科学賞とJSECでダブル受賞
県立柏中央高校化学部は今回、日本学生科学賞とJSEC(Japan Science & Engineering Challenge) でそれぞれ旭化成賞とJFEスチール賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

旭化成賞(日本学生科学賞)
「ギ酸によるフェーリング液の還元反応と銀鏡反応の研究」
堤 朝風(千葉県立柏中央高等学校1年)
日本学生科学賞については下記のURLをご参照ください。

http://www.jssa.net/index.php

この研究は、千葉大学の第2回高校生理科研究発表会で、千葉大学学長賞を受賞しています。

JFEスチール賞(JSEC)
「遷移金属の共沈法による可視光応答型光触媒の新規合成の開発」
石井 健治(千葉県立柏中央高等学校)
JSEC2008については下記のURLをご参照ください。

http://www.asahi.com/ad/clients/08jsec/index.html

この研究は、千葉大学の第2回高校生理科研究発表会で、優秀賞を受賞しています。

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それぞれの研究を指導された山本喜一先生と中島哲人先生からコメントをいただいていますので紹介します。

「ギ酸によるフェーリング液の還元反応と銀鏡反応の研究」について
県立柏中央高校 山本 喜一
この研究は2007年度大学入試センター試験でギ酸がフェーリング液を還元することを前提とした問題が出され、それに対して大手予備校が質問状を出したことがきっかけとなった。フェーリング液が還元されるとCu2Oの沈殿が生成されるので、それをきちんと定量すれば、決着がつくのではないかと考えて、ベルトラン法という方法を使って定量をはじめた。ところが生成されるCu2Oの粒子が小さく、その量も少なかったため、ベルトラン法をそのまま使うことができなかった。そこで、試薬の濃度を下げ、ろ過法に代えて遠心分離法にするなどの試行錯誤の末、やっと定量できるようになったのは7月に入ってからのことだった。また、実験を進めているうちに、還元力を持っていない酢酸や乳酸、塩酸、硫酸などもフェーリング液と反応させる実験が必要であることに気づいた。
このようなわけで、論文を〆切に間に合わせるために、夏休みの多くを実験に費やすことになった。暑い中ではあったが、同じような実験を毎日のように繰り返した堤君の粘り強さがあったので、データをそろえることができた。そして、そのデータから「ギ酸はフェーリング液を還元しない」という結論を導き出すことができた。
今後は、還元力を持つはずのギ酸がフェーリング反応を起こさない理由について実験し、何らかの結論を得たいと思っている。

「遷移金属の共沈法による可視光応答型光触媒の新規合成の研究」について
県立柏中央高校 中島 哲人
JSEC2008最終選考会に化学部から2組出場した。石井健治君の「遷移金属の共沈法による可視光応答型光触媒の新規合成の研究」は協賛社のJFEスチール賞を受賞し、2009年5月ネバダ州リノで開催される国際学生科学技術フェア(ISEF)にサイエンスリポーターとして派遣されることになった。化学部では光触媒で環境浄化に取り組んでいて、石井君は基礎基本の酸化チタン光触媒の合成の研究から始めた。ろ過の過程で、誤って銅化合物の廃液を混合し、有色の粉末ができた。このことをヒントにして、遷移金属の水酸化物と水酸化チタンを共沈させる方法により、可視光応答型光触媒の新規合成法の開発に成功した。張ヶ谷勇人君も「銀鏡反応によるアクリル板を使ったプラスチック鏡作り」を発表した。

 
 

【3】平成21年度SPPの募集案内(再確認)
先日(1月8日)にご連絡致しましたが、平成21年度SPPの募集案内がJSTのホームページにアップされています。募集期間は1月13日(火)?2月13日(金)となっています。詳しくは、下記のURLをご参照ください。

http://spp.jst.go.jp/flow/planspp.html

千葉大学高大連携企画室でお手伝いできることがありましたら、気軽にお問い合わせください。

 
 

【4】編集後記
今回は、千葉県における高校理科のレベルの高さを証明する、2つのうれしいニュースをお伝えしました。これはとりもなおさず、指導されている先生方の技量の高さを証明しています。
2月には、千葉県のSSH校である県立柏高校と芝浦工大柏高校のSSH報告会があります。16日、県立柏SSH生徒研究発表会、28日、芝浦工大柏高校SSH事業報告会です。両高校は今年の3月末をもってSSHの指定研究が終了します。
3月には、22日(日)、早稲田大学理工学術院63号館で、関東近県SSH合同発表会があります。また、25日に市立千葉と県立船橋の理数科合同発表会が市立千葉高校であります。
これらの発表会の様子もニュース等で紹介したいと思います。


 
 



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