千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO.36(2010.9.14)

【1】「第4回高校生理科研究発表会」応募総数130件となりました
【2】小泉治彦著「理科課題研究ガイドブック」を差し上げます
【3】「生物チャレンジ」県立船橋高の大塚祐太君が金賞、相馬朱里さんが銀賞受賞
【4】「全国高校化学グランプリ」県立千葉高の中野友貴君が金賞受賞
【5】「国際情報オリンピック」八千代松陰高の今西健介君が銀メダル
【トピックス】太陽系外惑星続々発見
【編集後記】

 

【1】「第4回高校生理科研究発表会」応募総数130件となりました

  第4回高校生理科研究発表会へのご応募ありがとうございました。おかげさまで 昨年の118をさらに上回
る130件の研究発表が行われることになりました。内訳は数学・情報5、物理33、化学40、生物42、地学10です。地学は昨年28もあったのにどうしたのでしょう。少し心配なところです。
  スタッフ一同、みなさんが気持ちよく参加できるよう一生懸命準備を進めています。研究最後の詰めの10日間、生徒のみなさん、先生方がんばってください。 

 なお応募された研究テーマと要旨については以下をご覧ください。

 http://koudai.cfs.chiba-u.ac.jp/pdf/yousisyu4.pdf

 

 
 

【2】小泉治彦著「理科課題研究ガイドブック」を差し上げます

  県立柏高校のSSHに尽力された小泉治彦先生(現 我孫子高校 地学)が、千葉大学先進科学
センターを発行元として上記ガイドブック(A4版68ページ)を出版します。
 長年の実践のご苦労がにじみ出たまさに他に類のない力作であり、これから課題研究を進めていく先生方と生徒たちの力強い味方、大きな指針になることは間違いありません。
 千葉大学ではこのガイドブックを「研究発表会」に参加するすべての生徒のみなさん、先生方に無料で差し上げます。章立ては以下の通りです。

 1.課題研究を始める 2.文献を調べる 3.研究計画を立てる  4.研究を進める
  5.成果を発表する 6.成果をまとめる  おわりに:課題研究で伸びる生徒の能力

 ガイドブックには大山光晴先生より以下のような「推薦の言葉」をいただいて
おります。ごらんください。

  思考力や判断力,表現力という現在の科学教育に求められている力を生徒に身に つけさせるためには,課題研究は非常に有効な取り組みです。新しい学習指導要領では,新たな理科の科目としても「課題研究」が設置されています。ところが,これまでは具体的な指導のノウハウをまとめた資料がなく,多くの先生が手探りで進めていました。この冊子には,小泉先生が,SSHの指定を受けた県立柏高等学校でのご自身の指導経験を基に,課題研究の指導に必要な内容がたいへんわかりやすくま
とめられています。間違いなく指導者や生徒にとって,課題研究を進める際の座右の書となることでしょう。この冊子を活用して,一つでも多くのすばらしい科学研究がおこなわれることを心より願っております。                   (千葉県総合教育センターカリキュラム開発部部長 大山光晴)

  *「理科研究発表会」には不参加で、「ガイドブック」を希望される方は以下をご覧ください。
   なお数に限りがあることをあらかじめ申し添えます。
      http://koudai.cfs.chiba-u.ac.jp/guidebook.html

 

 
 

【3】「生物チャレンジ」県立船橋高の大塚祐太君が金賞、相馬朱里さんが銀賞受賞

 「生物チャレンジ」とは「日本生物学オリンピック」であり、「国際生物学オリンピック」の日本代表選考会でもあります。全国80ほどの会場で行われる「第一次試験」の上位5%(約80名)が、今年は8月19日〜22日まで筑波大学に集い「第二次試験」にチャレンジしました。
 その結果、県立船橋高校2年の大塚祐太君が金賞、同じく2年の相馬朱里さんがみごと銀賞の栄
誉に輝きました。二人は日本代表候補となり、来年3月20日に科学技術館で行われる、4名のオリ
ンピック代表選抜試験(第三次試験)に挑戦することとなりました。
 思えば昨年7月、つくば市で開催された「第20回国際生物学オリンピック」では当時船橋高校3年
の大月亮太君が日本人初の金メダルに輝き、大きな感動を与えてくれました。第二の大月君目指し
て、大塚君、相馬さん、がんばってください。
 ご指導に当たられる船橋高校生物科の石井規雄先生は今年度いっぱいでご退職です。「持ってい
る力を最大限に発揮して生徒の育成を目指したい」と語っておられました。

 
 

【4】「全国高校化学グランプリ」県立千葉高の中野友貴君が金賞受賞

「物理チャレンジ」で銀賞を受賞した県立千葉高の中野友貴君(NO.35参照)が、「全国高校化学グランプリ」
でも金賞を受賞しました(8月22日)。3年生ですので「国際化学オリンピック」には出場できませんが、物理、
化学で全国上位入賞の快挙には驚かされます。なお、中野君は「第4回高校生理科研究発表会」では数学
部門で研究発表を行う予定です。

【5】「国際情報オリンピック」八千代松陰高の今西健介君が銀メダル

 「第9回日本情報オリンピック」の予選本選を勝ちぬき、「国際情報オリンピックカナダ大会」への4人の代表
に選ばれた八千代松陰高2年の今西健介君がみごと銀メダルを受賞しました(8月20日)。
 日本選手4人は全員メダル獲得(金2銀2)で、アメリカに次ぐ2位(中国、ロシアも2位タイ)となりました。

 

 
 

【トピックス】太陽系外惑星続々発見

 8月24日、チリにある欧州南天天文台は5つの惑星を持つ恒星を発見したと発表しました。惑星5
個は過去最多です。みずへび座127光年の恒星HD10180で、惑星はいずれも海王星ほどの大きさ、公転周期は6日から600日でした。
 「太陽系以外の惑星は決して観測できない」と高校のとき習いましたが、1995年ペガスス座51番星
(50光年)の木星クラスの惑星発見を皮切りに発見が相次ぎ、現在500個に迫る系外惑星が発見されています(日本人の発見は3個でちょっと残念)。
 そのほとんどがホットジュピターと呼ばれる恒星の近傍を高速で公転する巨大惑星ですが、最近はスーパーアースと呼ばれる巨大地球型惑星も次々見つかっています。その中で今のところ最も地球
に似ているのは、てんびん座20光年にあるグリーゼ581d惑星です。質量は地球の8倍、中心恒星の温度と惑星の軌道から判断してこの581dがハビタブルゾーン(生命居住可能領域)に入っていること
はほぼ間違いないといいます。というわけで早くもオーストラリアを中心にグリーゼ581dにメッセージを送ろうというプロジェクトが始まっています。
 惑星の発見方法は原理的にたくさんありますが、現在はほとんど次の2種類で、ほぼ半々ずつ行われています。 @視線速度法は、惑星の重力によって恒星の位置がわずかにブレるときの、光のドップラー効果を測定する方法で、ドップラー偏移法とも呼ばれます。先ほど述べたホットジュピターは恒星に近くて重いので、ドップラー偏移が大きく、ほとんどこの方法で発見されました。Aトランジット法は、惑星が恒星の前を横切るとき、恒星がわずかに暗くなるのを測定する方法で、食検出法とも呼ばれます。この方法により惑星の質量が正確に測定できます。何百光年も離れた星の、そんなわずかな光の変化で、惑星の有様がわかるのですから、宇宙物理学とその技術には驚嘆せざるを得ません。
 ところで全く話は変わりますが、現在の科学哲学上の最大の問題は「実在論」と「反実在論」との論争であり、反実在論がやや優勢と聞きます。反実在論とは、直接観察できない現象については、何が真実であるか決して知り得ないという立場です。反実在論者からみれば、恒星のブレや明るさの変化で惑星の存在を結論し、その環境まで云々する科学者たちは、まさに単純きわまりない生き物なのかも知れません。しかし科学は、直接観察できない数々の事象を説明してこそ意味があるのではないでしょうか?恐竜も氷河期も、地球の内部構造も、電子も、進化も、遺伝子も、みんな直接観察できないものばかりです。
 生徒たちには、直接観察できるものできないものを「差別」することなく、同じ想像力で研究する姿勢をぜひ学んでほしい、と私たちは思います。
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【編集後記】

 やるべきことがわかっている仕事の忙しさは苦になりません。どうしてよいかわからないとき人は強いストレスを感じます。理科教師にとって「課題研究」の指導は多かれ少なかれその種の仕事ではないでしょうか。
 現場の苦労の積み重ねから生まれた小泉先生のガイドブックは、そんなストレス解消にきっと役立ってくれます。一人ひとりの生徒が主体的に課題研究をなし遂げてこそほんとうの科学教育であると私たちは考えています。この出版を契機に課題研究学習がいっそう盛んになることを期待します。

  野曽原友行

千葉大学高大連携企画室
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E-mail:t-nosohara@faculty.chiba-u.jp




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