千葉大学|高大連携企画室

 

   
       
                 

 



 
千葉理数教育高大連携ニュース NO90(2015.3.1)

【1】「君も物理チャレンジを!」講習会に参加しませんか?
【2】科学の甲子園千葉県代表チーム強化トレーニングが行われました
【3】第6回 千葉県高等学校課題研究発表会開催のご案内
【トピックス】43年も続いている理科の勉強会「安房科学塾」
【編集後記】

 

 




【1】「君も物理チャレンジを!」講習会に参加しませんか?

  今年も「物理チャレンジ」に挑戦する高校生のための講習会を千葉大学先進科
学センターの主催で開催します。
  日程は4/26(日)、5/10(日)、5/31(日)、6/7(日)の
4日間、場所は千葉市科学館で開催します。
  先生方、物理が好きで得意な生徒さんを是非チャレンジさせてください。そし
て物理に興味を持っている生徒さんを当講習会に参加させてください。
  詳しい内容、申し込み方法等は以下のウェブサイトをご覧ください。
   http://www.cfs.chiba-u.ac.jp/event/150213.html

 *申し込み受付は先着30名です。締め切り日以前でも定数に達した場合、そ
の後はご遠慮いただくことになります。また、第1チャレンジを受ける方を優先し
ます。




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【2】科学の甲子園千葉県代表チーム強化トレーニングが行われました



第4回科学の甲子園千葉県代表チーム(渋谷教育学園幕張高校11名)に対す
る強化トレーニングが千葉大学理学部1号館において千葉大学教授を講師として
行われました。講義内容は、数学、物理、情報、生物、および製作課題の作成な
ど多岐に渡るものでした。今回は生徒の要望を取り入れバイオテクノロジー、塩
基配列決定法、PCR法、RNA干渉などの講義が行われました。
数学の講義内容を1つ紹介します。それは、3次方程式の解が四則演算と累乗
根計算によって計算できることを手順に従って説明しようというものでした。代
数学では、方程式の係数どうしの四則演算と累乗根を用いて解くことを代数的に
解くといいます。
3次方程式の3つの解と1の立方根の1つを仮定し、これを用いてある変数変
換を施します。3つの変換された変数の内1つは根と係数の関係により簡単に求
まります。残りの2つは変数変換を施す前の3次方程式の解の順番を巡回的に置
換しても変換後の式の形は変わりません。また、この残りの2つの変数の3乗を
解とするような2次方程式を作ってみると1次の係数、0次の係数の値は3次方
程式の解の順番の巡回的置換に対して不変(対称)です。この2次方程式を解き
2つの解が得られ、最後に変数逆変換をすることで元の3次方程式の解が得られ
ます。このようにして求めた3次方程式の解の集合全体と初めに仮定した3次方
程式の解の集合全体は1対1に対応していることは、中間段階で作った2次方程
式の係数が初めに仮定した3次方程式の解の順番の巡回的置換に対して不変であ
ることにより保証されています。
この3次方程式の解の性質の研究は、その後ガロア理論の発見に発展していっ
たということです。ガロアは方程式そのものは考えず、方程式の背後に潜む群と
いう集合を考えました。
変数を入れ替えても式の形が変わらない事を対称性が有るといいます。物理の
分野では、あるものに対してなんらかの働きかけをしたとき、それをやった後と
やる前が全く同じように見えるとき対称性があるといいます。物理ではこの対称
性が重要視され、対称性の有るところには何らかの保存量が対応します。並進対
称性に対して運動量保存則、回転対称性に対して角運動量保存則、時間対称性に
対してエネルギー保存則・・・などがそれです。
生徒と一緒にこの講義を受けて現代物理学でも対称性を重要視していて、物理
法則の対称性を自然法則の基本原理としている事を思い出しました。
続いて製作課題ですが、斜面を下る際の回生ブレーキによって発生する電気エ
ネルギーをコンデンサに蓄える車体、およびコンデンサに蓄えられた電気エネル
ギーを用いて空中に張られたロープを登る車体を、用意された材料と工具類のみ
を用いて製作し、充電からロープウェイがゴールするまでの時間を競おうという
ものです。
まず斜面を下る車体の製作から始め、生徒たちは様々な考えを出し合い議論し
ながら作っていきました。その中の一場面です。車体の製作途中で、コンデンサ
にどれだけエネルギーが蓄えられたのかを知るにはどうしたらよいか、という議
論になりました。電圧計で測って容量と電圧から計算する、与えられている器具
の中に電圧計は無いよ、逆にコンデンサに蓄えられたエネルギーを使って斜面を
登らせればよい、コンデンサに蓄えられたエネルギーを使ってしまったらロープ
ウェイの実験はできなくなってしまうよ、放電させないでコンデンサにどれだけ
エネルギーが蓄えられたのかを知りたいんだ、・・・などの様々な議論の末、コ
ンデンサに電荷が蓄えられるとコンデンサの両端の電圧が高くなり充電しにくく
なるので回生ブレーキがかかりにくくなる、だから車体が速く下るようになった
ら充電完了の目安になる、という考えに至りました。これは何回も実験をしてい
る中から経験的に発見したものではなく実験をする前の予想の段階で互いに議論
をする中でこの考えに到達しました。この生徒たちの優秀さを感じた瞬間でした。

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【3】第6回 千葉県高等学校課題研究発表会開催のご案内

千葉サイエンススクールネット(文部科学省平成26年度SSH千葉県立船橋
高等学校科学技術人材育成重点枠)による「千葉県高等学校課題研究発表会」が
3月25日(水)千葉市立千葉高等学校にて開催されます。課題研究指導に興味
関心のある先生方、どうぞ御参加ください。

1 期 日  平成27年3月25日(水)
2 会 場  千葉市立千葉高等学校
〒263-0043 千葉市稲毛区小仲台9-46-1
TEL 043-251-6245
3 主 催  千葉サイエンススク-ルネット
(文部科学省平成26年度SSH千葉県立船橋高等学校科学技術
人材育成重点枠)
4 共 催  千葉県教育委員会・千葉市教育委員会
5 後 援  千葉県高等学校長協会
6 発表校   県内の連携高等学校15校,連携中学校
7 日 程    9:30~9:50  午前の部:一般受付(昇降口)
10:00~10:20 開会式(体育館)
10:20~12:10 各校代表生徒口頭発表(10件)
(体育館)
12:10~13:00 昼食休憩
12:30~13:00 午後の部:一般受付(昇降口) 
13:00~15:30 ポスター発表(200件程度)
校舎廊下
15:40~16:00 閉会式(表彰式)(体育館)

(参加申込)
申込用紙に記入のうえ、3/10(火)までにFAX にてお申し込みください。
申込用紙はSSネットHP http://www.chiba-ssnet.com/ からダウンロ
ードできます。どなたでも入場できます。
会場へのアクセス方法は、千葉市立千葉高等学校ウェブサイトを御覧ください。
http://www.ich.ed.jp/


連 絡 先
SSネット事務局 千葉県立船橋高等学校
〒273-0002 船橋市東船橋6-1-1
TEL:047-422-2188
FAX:047-426-0422
担当  教頭  谷口 哲也 t.tngch4@pref.chiba.lg.jp
科学教育統括部(SS部) 岩瀬 博行 h.iws16@chiba-c.ed.jp   


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【トピックス】43年も続いている理科の勉強会「安房科学塾」
千葉大学高大連携専門部会 野曽原友行

とにかくいろんな人がいろんな実験や面白いお話をする楽しい「塾」です。
たとえば前々回の「高校生理科研究発表会」でも講演した東京大学の鍵裕之教
授による「室温で氷を作る実験」。暖かい部屋の中、突然ゴソッと六角形の氷の
結晶が現れたときは歓声が上がりました。
「安房科学塾」を創ったのは、知る人ぞ知る戦後の理科教育をリードしてきた
故・盛口襄先生で1972年のこと。それから毎年12月28~29日、安房の民
宿を借り切っての合宿勉強会は、昨年末で43回を数えました。
現在、登録メンバーは約40名。関東を中心に北は岩手、宮城、山形、西は愛
知、京都、石川、岡山から、授業と科学が三度の飯より好きな理科教師たちが集
まり、一人平均20分の時間を守って発表し実験します。
内容は、8割方が実験を中心とした楽しい授業実践ですが、このごろは課題研
究のことも盛んで、今年度「塾」のメンバーの指導による4件が全国へ進み、う
ち2件がISEF出場を決めています。
そんなわけで今回は、そのうちの一人芝浦工大柏高校の山本喜一さんが「ダブ
ル受賞は皆さんのおかげです」と題して、課題研究の指導法について記念講演を
行い、その根気強い指導と、探求力の深さにみんな感銘を受けました。
メンバーの多くは高校化学の教員ですが、物理、生物、地学専門の人、中学、
大学の先生もいて、「他分野との連携」「中高大連携」の場としての意義も大き
いのです。
私は第2回から欠かさず参加してきました。「塾」でみんなに認めてもらえる
実践を目指して、毎年毎年努力を重ねてきたと言っても過言ではありません。上
下関係や権威主義的な雰囲気は一切なく、よいところを見つけ合い、励まし合う
素敵な関係ですが、互いにライバルでもあり、ほかの人たちの優れた発表は貴重
な宝物であると同時に「悔しさ」でもあります。
そんなときは、新年早々独り修行僧のような気持ちで実験室に引きこもり、あ
れやこれやに挑戦します。やがてその成果が生徒に「大受け」したときなどは、
天にも昇る気持ちでした。「互いに刺激し合って各メンバー独自の理科教育の世
界を切り開いていく」、これが「塾」の目的と言えるでしょう。人は人との出会
いを通してのみ変わっていけるのです。
ここ数年は二十代の先生方の参加が増えてきて嬉しい限りです。気楽な研修旅
行と考えてあなたも一度参加してみませんか?魚もおいしく、懇親会では大いに
盛り上がります。レポートなしの参加でもかまいません。全国にはこんなにも科
学と授業に情熱を持った面白い教師たちがいるものか!!ときっと感激すること
でしょう。

お問い合わせは野曽原友行  t-nosohara@faculty.chiba-u.jp  (3月いっぱい)
峰島不可止(市川高校)h.mineshima@ichigak-net.ed.jp(4月以降)。
どんな質問でもけっこうですので遠慮なくお寄せください。


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【編集後記】

とある寂れた温泉地、個人経営の古民具資料館での出来事である。一部の展示
品は自由にさわれる旨の表示がしてあった。ご高齢の一団に混じって若い親子連
れがいた。ご高齢の中でも最年長と思われるご老人が、若いころを思い出し、こ
の機械の仕組み、利用法について機械を操作しながら講釈をしていた。講釈が一
通り終わり高齢の一団は去って行った。後に残った子供がその機械を右に左に回
し始めた。どうやら回転しながら前後に動く仕組みに興味を持ったらしく、動か
しながら夢中で動く様子を観察していた。周囲の様子は目に入っていないらしく
家族が先に行ってしまったことに気付かない。その目は正に科学者の目であった。
暫くして、遠くからその子の名前を呼ぶ声がした。わが子を見つけた若い父親が
いきなり近づいてきて、その子の頭の上から甲高くよく通る声で、「〇〇いい加
減にしなさい」と一喝、ハッと我に返ったその子の目は、科学者のそれから、ヤ
ンチャなただのいたずら坊主のそれに変わっていた。


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御須 利

千葉大学高大連携専門部会
tel:043-290-3526
fax:043-290-3962
E-mail:misu@chiba-u.jp

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