高校生理科研究発表会
Event

第8回 高校生理科研究発表会 講演内容

題目 「医学研究へのいざない~DNAから生命現象・病気まで~」
講演者 東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター講師  細谷 紀子 先生
内容

 医学は、ヒトの誕生、発達、成長、老化などの一生涯における生命現象から、病気の原因、治療、予防に至るまでの幅広い分野をカバーする奥深い学問です。そして、医学研究の成果は、新しい治療法の開発につながり、未来の医療を劇的に変え得る可能性を秘めています。

 DNA(遺伝子)は生命活動の設計図であり、細胞の中の核と呼ばれる場所に、二本鎖の形で二重らせん構造をとって収まっています。生命活動を維持するためには、DNAが細胞分裂に伴って正確に複製され、伝達されなければなりません。ところが、DNAは様々な原因によって絶えず傷を受けています。最も重篤な傷は、DNA の二本鎖が近接した部位で完全に切断される「DNA二本鎖切断」と呼ばれるもので、この傷が残存すると細胞は死んでしまいます。

 DNAを安定に維持するために、細胞には、DNAの傷を修復するシステムが備わっています。この修復システムがうまく働かないことが、実は、がんなどの病気と密接に関係することが分かってきました。一方、がんの治療によく用いられる放射線治療や抗がん剤治療の多くは、DNA二本鎖切断を人工的に作り出して、がん細胞を撲滅することを目指すものです。その治療の成否は、がん細胞の持つDNAの傷の修復能力に大きく依存することになります。

 本講演では、私が内科医として活動する中で目の当たりにした医学研究の医療への貢献の事例をご紹介するとともに、DNA修復研究に基づく新しいがん治療の開発の動向についてご紹介したいと思います。

講師紹介

細谷 紀子(ほそや のりこ 東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター講師)

 千葉県立千葉高等学校卒業。東京大学医学部医学科卒業後、内科研修を経て、同大学院医学系研究科内科学専攻博士課程修了。博士(医学)。以後、日本学術振興会特別研究員、東京大学医学部附属病院無菌治療部助手等を経て、2006年より東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センターにおいて、DNA損傷に対する細胞応答に着目したがんの病態解明と治療開発の研究に従事している。

 2008年、第一回資生堂女性研究者サイエンスグラント受賞。2009年、(財)放射線影響協会 第3回放射線影響研究奨励賞受賞。2010年、東大病院ベストスタッフ賞受賞。2011年、日本放射線影響学会岩崎民子賞受賞。2012年、東京大学医学部Best Teacher’s Award受賞。2013年、東京都医師会医学研究賞受賞。

題目 「Intel ISEF 2014」視察に参加して
講演者 千葉県立幕張総合高等学校 教諭   中山 秀幸 先生
千葉県立佐原高等学校 教諭    浅野 裕史 先生
内容

 70を超える国と地域の代表生徒による世界最大級の科学研究コンテスト、それがIntel ISEF 2014(国際学生科学技術フェア)です。5月にアメリカ・ロサンゼルスで開催され、今年も千葉県の生徒が入賞することができました。我々はJSEC(高校生科学技術チャレンジ)を勝ち抜いた日本代表生徒に同行してフェアの様子を視察し、世界と日本の違いの大きさに大変驚きました。世界最高峰の研究発表会がどのようなものであったのかを伝えることで、みなさんの研究に少しでも参考になることを願い、報告いたします。

*お二人の先生のISEF参加記はコチラをごらんください。

講師紹介

千葉県立幕張総合高等学校 中山秀幸(なかやま ひでゆき)

 大学卒業後、私立高校から現所属校まで7つの高校に勤務。担当教科は理科(生物)。現所属校では、科学を総合的に理解させる工夫として、知識定着のため学年をまたがった教科指導や学校で科学教育を見直をするため看護教科と連携を図っている。また、設立3年目の千葉県高等学校自然科学専門部会を通じて、科学研究の支援体制を充実させたいと考えている。

千葉県立佐原高等学校 浅野 裕史(あさの ひろふみ)

 大学院修了後、千葉県の公立中学校に勤務。2008年に県立佐原高等学校に異動して現在に至る。担当教科は理科(地学)で、学生・院生時代は北海道浦河町において、イドンナップ帯の地質構造について研究。現在は、東北地方太平洋沖地震の液状化の被害を踏まえ、地震災害についての理解を深める授業方法を模索中である。山岳部および天文・気象部顧問

第8回高校生理科研究発表会の報告に戻る

▲ PAGE TOP