飛び入学
Early Admission

先輩からのメッセージ 2015年度 ― 研究者、科学者、起業家として活躍 ―

好きなことを早く始めるために飛び入学!

H.O.さん
H.O.さん

千葉大学大学院 修士課程1年 融合科学研究科 構造化学研究室所属
先進科学プログラム 「物理化学コース」卒業 県立長生高等学校(千葉県)出身

研究室が私の居場所

飛び入学制度を利用しようと思ったのは、好きな研究を早く始めたいと考えていたことと、一般の受験に向いていなかったことが理由です。とは言っても、本当に受かるとは思っていませんでした。幸運にも合格し、入学後は、授業以外は殆どの時間を研究室で過ごしています。

大学に入っても、勉強が大変なことは変わりませんでした。大きな違いは、大学では好きなことを自分から進んでやっているということ。だからこそ歯が立たないと思える壁にぶつかっても前を向き、それに立ち向かっていくことができたのだと思います。そして、それを支えてくださったのが先進科学センターの先生方や先輩たちの励ましでした。

X線散乱による構造解析

現在の研究テーマは『トリフルオロエタノールのゆらぎと、そのタンパク質への効果』。これはトリフルオロエタノール(溶媒)によって起こるタンパク質の構造変化と溶媒の分子分布を調べ、そのメカニズムを解明しようという試み。溶媒でコントロールできるタンパク質を創出することが将来的な目標ですが、タンパク質が凝集することで起きるアルツハイマー病やブリオン病などの究明にも繋がるやりがいのある研究です。 飛び入学で入った千葉大学での4年間には、思いがけないこと、辛いことも経験しましたが、それが今の自分の糧になっていると思っています。自分に満足せず、新しい課題を見つけて、それを乗り越えることで成長する。それが先進科学プログラムなのだと実感しています。

目に見えるカタチで社会の役に立ちたい!

Y.Y.さん
Y.Y.さん

千葉大学大学院 修士課程1年 融合科学研究科 クリューガー研究室所属
先進科学プログラム 「FTコース」卒業 麻布高等学校(東京都)出身

高密度磁石の開発を目指して

僕の研究は物性物理と呼ばれる分野で、量子力学に基づいて電子の動きを計算・再現することで工業的に「使える材料」を設計するための指針を構築することに主眼が置かれています。

社会の役に立つものを開発できるかもしれないということが研究のモチベーション。今、注目しているのは金属と炭素が結合した「有機金属錯体」を使った磁石の開発です。金属の磁石は原子が集まって磁石の性質を帯びますが、有機金属錯体は一つ一つの分子が磁石として振る舞うため高密度(=小型化)な磁石がつくれるのです。現時点では、まだ理論研究の段階ですが、いつかはきっと工業製品に組み込まれる日が来ると信じています。

すべてはガンダムから始まった

子どもの頃からアニメやロボットが好きだった僕は、兄の「ガンダムはウソ。重過ぎて立ち上がれないもん」の言葉に発奮(笑)。「それなら、軽くて丈夫な材料を開発してやろう」と思ったことが研究者に興味を持つきっかけでした。飛び入学を知ったのは高校年の夏のこと。受験の話ばかりで学校がつまらなくなっていたこともあり、ダメで元々という軽い気持ちで受験しました。

合格した時はビックリしましたが、僕の成績(の悪さ)を知っている高校の先生はもっと驚いたようです。そんな僕でも大学で4年間鍛えられたおかげで大学院に進むことができました。今は次の進路選択で悩んでいます。このまま博士課程に進むか、海外の大学院に行くか、企業の研究所に入るか…。高校時代には想像できなかった贅沢な悩みです。

まだ人類が知らない世界をロボットで究明したい

T.O.さん
T.O.さん

独立行政法人 海洋研究開発機構 地震津波海域観測研究開発センター
海底観測技術開発グループ 技術研究員

好きなことをやりつづけた4年間

ロボットが大好きで、中学生の時には「火星探査ローバーコンテスト」(千葉市主催)に出場するため、手づくりの不整地走行ロボットを抱えて、大阪から千葉まで遠征していたくらいです。高校生になると、ロボットについて詳しく教えてくれる人が身近におらず、「早く大学に行って自分で研究するしかないな」と思っていました。そんな時期に飛び入学を知り説明会に参加。ある先生の『受験勉強に明け暮れる高校3年の1年間と、大学生として過ごす1年間のどちらに価値があるだろう』という言葉で一気に心が傾きました。

大学では、「千葉ロボットスタジオ」というサークルの代表になり、授業の合間を縫ってロボットづくりや子ども向けの理科教室の運営などに従事。4年次からは知能機械システム研究室に所属して、ロボットと人をつなぐユーザーインターフェ―スの研究に取り組みました。今思えば、ロボット好きな子どもがそのまま大学生になり、好きなことをやりつづけることができた中身の濃い4年間だったと思います。

陸上の知見を深海での技術に活かす

大学・大学院では火山などの陸上を移動探査するロボットの研究・開発を行ってきましたが、現在は海洋研究開発機構(JAMSTEC)の技術研究員として、海底地震・津波を早期に検知する観測システム「DONET」の開発に携わっています。人類にとって未知の領域をどうやって明らかにするかという点では宇宙と共通する技術も多く、科学的な好奇心をかき立てられたことと、院生時代に仙台で震災を経験し、地震・津波の災害を少しでも減らしたいという思いからこの職に就きました。

現在は、熟練したパイロットが船上から海中の無人探査機を遠隔操作することで、DONETシステムの構築が進められています。当面の目標は、こういった作業を自動化して効率化するための技術を開発すること。長期航海での船酔いなど大変なことも多いですが、見たことのない深海の世界で活躍する巨大システムの開発にはやりがいを感じます。そして、ロボットを介して人が行けない世界に光を当てる技術を開発することが大きな夢です。

【海洋研究開発機構(JAMSTEC)とは?】

海洋・地球科学の研究と海洋調査の技術開発に取り組む研究機構。有人潜水調査船「しんかい6500」を代表とする深海探査機器や、海洋調査船、地球シミュレータなどの研究設備を駆使して海洋・地球・生命の統合的な理解に挑戦している。なお、大木さんが所属する地震津波海域観測研究開発センターでは、先進的な観測・シミュレーション・モニタリング技術により地震・津波の実態把握と災害の軽減のための情報発信を行っている。

海洋研究開発機構(JAMSTEC)HP
T.O. さんの歩み

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