飛び入学
Early Admission

先輩からのメッセージ 2017年度 ― 研究者、科学者、起業家として活躍 ―

先進科学プログラムに飛び入学した学生は、選んだクラスに該当する学部・学科(理学部、工学部、園芸学部、文学部)に所属し、それぞれが定められた学士課程のカリキュラムを履修しますが、それに加え、先進科学プログラム独自のセミナーや研修に参加し、専任の指導教員のもとで研究者への道を歩んでいきます。

ベンチャーを起業して

世界に対抗できる高性能な手術支援ロボットを開発中

株式会社A-Traction 代表取締役社長
安藤岳洋さん

2003年、千葉大学 工学部 電子機械工学科 FTコース入学。2007年、千葉大卒業後、東京大学大学院 工学系研究科に入学し、博士号を取得。医学系研究科を経て、工学系研究科で助教を務める。2015年、株式会社A-Tractionを立ち上げ、新しい医療機器の開発に取り組んでいる。

メッセージ

博士号を取得後、東京大学の工学系研究室で助教を務めながら、医療ロボットの開発に取り組んでいました。大腸の専門医と共同開発していた腹腔鏡手術の支援ロボットの研究が出資会社に認められて、2015年に起業。世界に対抗できる高品質な手術支援ロボットの開発に専念しています。

小さいころからモノつくりが大好きだったのですが、高校2年のときに物理の先生から“飛び入学”のことを聞き、「少しでも早く専門研究に入りたい」と入学を決めました。印象的だったのは、大学1年次の「先進科学セミナー」。担当教授から「物理や工学の分野で活躍したいなら、このくらいの問題は解けなきゃダメだぞ!」とお尻を叩かれながら、厳しく高等数学を教えていただきました。その時は、「先生についていくのがやっと」でしたが、今思うと、あのセミナーが医療機器の開発面でも、自分の精神的な面でも、基礎になっているような気がします。

「飛び入学」に興味のある高校生には、「とにかく受験してみたら?」と伝えたいです。なぜなら、「より難関の大学に入学する」ことより「その後、どの研究室に進むか」が重要だから。将来の目標が明確なら、一足早く専門研究を楽しむことをお勧めします。

大学の教員として

多くの「未知」が潜む、量子情報の基礎研究に取り組む

東京大学大学院 理学系研究科 助教
添田彬仁さん

2002年春、物理学関連コース入学。2006年、東京大学大学院に入学、2011年修了、博士号取得。その後2年間、シンガポールの研究所で研究。2013年、東京大学大学院・村尾研究室(量子情報)に戻り、助教として研究を続けている。

メッセージ

「量子論」の分野は研究の歴史が浅く、未解明な部分が数多くあります。例えば、量子論を導入すると情報処理能力が驚異的に上がり、現在のコンピュータでは不可能または膨大な時間を要する因数分解を簡単にできることは分かっているのですが、それが何故なのかは解明されていません。

私の研究の研究テーマは、量子ビット(量子情報の最小単位)2つで「何ができるか」を理論的に解明し、将来の量子コンピュータにつなげようというもの。道のりは険しいのですが、多くの「知」が潜んでおり、やりがいはあります!

先進科学プログラムの入試制度(現、方式Ⅰ)は、私のように文系が苦手な人にとってたいへん魅力的でした(笑)。一方、入学後は一般の学生より多くの授業が待ち構えているので、勉強は決して楽ではありません。しかし、1年次から教授の個人指導が受けられ、専用の学習室まで用意されているなど、多くのメリットもあります。飛び入学は、標準ルートではないかもしれませんが、少し違った世界を見たいと思える人には絶対にオススメ。1年早く入学できれば、その後の人生でも1年分の余裕を持って生きられるので、精神的に大きなアドバンテージです。

グローバル企業で

ブラウザーを快適に動かすプログラムを開発中

グーグル合同会社 シニアソフトエンジニア
上野康平さん

2006 年春、理学部 物理学コース入学。2年次、『天才プログラマー/スーパークリエータ』に最年少(当時)認定される。卒業後、東京大学大学院情報理工学系研究科 創造情報学専攻に進む。修士課程を修了後、(株)ドワンゴを経て、現在はグーグル合同会社で活躍中。

メッセージ

情報科学の世界が好きで、高校時代は独学でプログラムを書いていました。飛び入学を選んだのも、一般的な受験勉強で大好きなプログラミングやコンピュータグラフィックの研究を中断させたくなかったから。早く大学に入って、最先端のことを学びたいと考えていました。先進科学プログラムでは、1年次から特別プログラムがあり、第一線の研究者から直接話が聞ける“オムニバスセミナー”があったり、いろんな教授から個人指導を受けられるのも魅力でした。

現在はグーグルでウェブブラウザ「Chrome」を快適に動かすためのプログラムの開発に携わっています。ソフトウェアエンジニアはどの分野でも開発できる能力を求められますが、私は中でもプログラムの高速化を手がけることが多いですね。世界中のエンジニアとチームを組んで仕事をしますが、開発にあたってはロジックや数値的な解析を要求されたり、理論や手法の有効性を実験で証明する必要があったりします。こういう場面に対応できる基礎力が、先進科学プログラムで養われたと感じています。ここは、研究者になるための修行の場として最適だと思いますよ。

留学のチャンスを生かして

最高の研究人脈と留学のチャンスを得て、研究にまい進

スイス連邦工科大学チューリッヒ校(留学中)
坂梨昂平さん

2014年4月、FTコースに入学。先進科学セミナーなどから影響を受け、物性物理学に興味を持ち、2年進級時ナノサイエンス学科に転科。2016年9月からスイス連邦工科大学チューリッヒ校に留学中。

メッセージ

3年生の4月から、キャリアパスプログラムという留学制度で、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)に留学しています。通常研究室配属以降、特に修士課程以降でなければ積むことのできない貴重な海外での研究経験です。ETHZは、あのレントゲンやアインシュタインも学んだ自然科学と工学の専門大学。これまでに21名ものノーベル賞受賞者を輩出しています。若いうちからそのような研究者と直接交流できることはとても有意義に感じます。また、スイスのみならず日本を含め多くの国から研究者や学生がやってくるため、早い時期から多くの人々と交友関係を持つ機会を得ることができました。加えて世界のトップクラスの大学の学生がどのように学び、研究しているかを間近に見ることで、とてもモチベーションが上がります。

私は高校時代には英語に強い苦手意識を持っておりましたが、先進科学プログラムの2回のカナダ留学と今回のスイスへの留学を経て、英語で議論をしたり研究を行ったりということが当たり前と思えるまで、苦手意識を払拭することができました。ぜひ皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。

(2017年7月現在)

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